交渉術を学ぶ -良いプラクティスと自分の実際を見比べる

今日からNegotiationのクラスが始まった。理論を学び、実際にやってみて、プロフェッショナルが同じケースで交渉しているのを見る。

とてもためになる。

”魔法はない”ということがわかるからだ。

知っていることとそれができることの違いの大きさはわかっているつもりでいる。特に交渉において最も人のパフォーマンスを動かすのは背負っているものの大きさでありそこからくる極度のプレッシャーだろう。それを持って尚普段通りの自分のパフォーマンスを発揮し続けられるか、そこがプロとそうでないものとを大きく分かつと思っている。

なので、ケースに基づいた交渉という時点で上記のようなプレッシャーは皆無でありプロをプロたらしめるパフォーマンスはみられていないと考える。

とは言え、そのプロフェッショナル同士の交渉を見て、”ああ、ういうものなんだな”と感覚を掴めることは自分にとってとてもプラスだ。

これは、TOEFLのスピーキングを学んでいた頃の感覚に近い。(TOEFLで105upのためにしたことと学習を通じての所感のSpeakingパート参照)

このクラスの目的の一つに、”自分の自然な交渉のカタを理解する”というのがある。誰しも自分らしいスタイルを持っておりその強みもあれば弱みもある、そのスタイルに縛られずに交渉を進めるためには、それを意図して外す必要があり、そのためにはまず知らねばならない、ということだ。

知識を蓄え、ケースとはいえ経験を積んでスキルを伸ばしていきたい。

[書評]プロフェッショナルマネジャー – 実績こそきみの存在だ。ほかのことはどうでもいい。

驚いたのは原著の初版が発行されたのは1984年だったということだ。30年前だ。その事実を知らずに読んでいたが内容を古びているとは感じなかった。登場する時代は勿論著者が生き抜いた時代なのだが。

この本に記された言葉に厚みを感じるのは、内容のすべてが著者の実際の経験に根ざしたものだからだろう。全ての哲学の裏には彼の行動があり、それらを選択した当時の考え方があり、そして出した結果がある。自身の行動が支えていないべき論は一切書かれていない。ここには頭でっかちな理論や何かしらのフレームワークは一切登場しない。

最も力強いメッセージは、経営者は経営しなくてはならぬ!ということだ。それはいったん掲げた目標を、達成すると誓ったことを、達成しなくてはならぬということだ。著者はこう喝破する。

結果を達成することができなければ、その人は経営者ではない。そりゃまあ、経営者としての肩書を名乗ることはできようし、執務室のドアに”専務”とか”副社長”とか”販売部長”とか書きつけさせることはできよう。しかし、私の基準では、その人はマネジャーではない。よかれあしかれ、どこでも物事は起こっている。しかし、きみがそれらの物事を起こらせているのではない。きみはそれらを経営していない。といっても、なにもきみがウスノロだとか、だめなマネジャーだと言うつもりはない。良いとか悪いとかではなく、とにかくマネジャーではないということだ。

そしてこれは何も会社経営に限った話ではなく、例えば大学の受験でも同様のことが言えると例を並べる。成り行きに任せて漂流しただけではマネジャーたりえない、目標を立ててスタートし真面目に努力をしても不足の事件の波に押し流されてしまうようではマネジャーたりえないと。

自身の学生時代、これまでの自身の仕事であり今の生活でありにある甘えを考える。そしてこれからの仕事であり生活でありを考える。

まずは自身をマネージするところからだなと気を引き締める次第。気を引き締めることのみには一切の価値がないと知りつつ。

 

印象に残った言葉をいくつか以下に抜粋する。

進もうと決めたら進むのだ。ーひとつの仕事をこなすことができたからには、つぎの、もっと大きな仕事だって、きっとうまくやれるはずだという信念をもって。もちろん、成功の保証はない。しかし、その後ずっと、自分自身に対して後ろめたい思いをせずに生きたければ、進んでリスクを冒さなくてはならない。

”表面的な事実(一見事実とみえる事柄)”
”仮定的事実(事実と見なされていること)”
”報告された事実(事実として報告されたこと)”
”希望的事実(願わくば事実であたってほしい事柄)”

プロフェッショナル・マネジメントという最高の芸術は、”本当の事実”をそれ以外のものから”嗅ぎ分ける”能力と、さらには現在自分の手もとにあるものが、”揺るがすことができない事実”であることを確認するひたむきさと、知的好奇心と、根性と、必要な場合には無作法さをもそなえていることを意味する。

なすべきことをしようとする衝動の原動力となるのは、論理ではなく、深いところに内在する情緒である。

実績こそがきみの実在だ。ほかのことはどうでもいい。マネジャーとは”実績をもたらす人間”だと私が定義するのはこの理由による。

どうしてタフな道を選ぶのか -明日で怒涛のIntensive Moduleを終える

進みたい道がたまたまタフだったというだけの話だが。

明日で2週間にわたったBarcelonaでのIntensive Moduleを終える。計10日間、毎日4コマのクラスに臨んだ。概算で35のケース(各20ページ程度)と同程度の量のサブリーディングがあった。加えて個人でのレポートやチームでのアサインメントもありなかなかタフであったと思う。

以前書いたとおりこの学期(5th Term)がMBA生活の最後となる。それぞれが思い思いの時間の過ごし方をする。最低限の単位数で、負荷の少ない科目のみを選択すれば多くの時間を勉強以外に割くこともできる。旅行等。

旅行もするが僕がまず優先するのは勉強だ。上限いっぱいの単位を登録した。前の学期もそうだった。

どうしてか。

必要だからだ。

卒業後の自分が納得のいくアウトプットをするためには今の自分ではまだ足りないからだ。その知識でありスキルのGAPを埋めるために必要だからだ。

それが楽に埋められればそれに越した話はないが、足りないところは土地勘であり経験の薄いところであり、それらを短期間である程度ものにしていこうとすると時間と労力を要するのだ。

卒業後に何がしたいかぼんやりしているうちは必要な物もぼんやりしていた。MBAに出願する際にEssayに書いた理想を模索する時を過ぎ、現実の卒業後の人生にリアリティを感じれば感じる程、何が必要なのかもリアリティを帯びてくる。自分が価値を出したいシーンも具体的になってくる。

そのシーンを叶えるために足りないものは、今、卒業する前に最大限満たしておく必要がある。それができる機会がMBAにはたくさんある。それらを無駄にせず活用したいと思うのだ。

ということで、睡眠時間と運動時間をまず確保し、次に勉強と食事等、残りの時間はバルセロナに、スペインに、欧州に住んでいることを満喫することにあてていきたい。

時折時間を忘れて勉強に集中することもあるけど、やはり十分な睡眠と適度な運動、十分な栄養があって初めて勉強も効率よく続けられるということで。

5th Termのクラス -企業投資と新興国に焦点を当てる

来週から5th Termだ。始まりは4th Termと同様Intensive Moduleから。場所はBarcelonaを選んだ。さて、MBA生活の最後を飾る5th Term、僕は次のクラスをとる。焦点を当てるのは2つ。企業投資と新興国だ。そしてそれら一連のクラスを選択した後、他に興味を持ったクラスは最大限組み込んだ。

企業投資
・Mergers & Acquisitions
・Venture Capital & Private Equity
・Financing Entrepreneurial Opportunities
・Search Funds -Managing Creativity

新興国
・Emerging Economies
・Globalization & Strategy

他に興味を持った
・Management in the Service Sector
・Marketing in High-Tech Industries
・Negotiation

これまで新規事業創出であったり新興国参入・成長戦略策定といったコンサルティングの仕事をしてきたが経験の幅の薄さを感じる。コンサルティングと実際の行動の違いなのかもしれない。スタートアップや事業会社での新規事業開発の経験から強く感じたことだ。

特におカネまわりの経験が薄い。おカネをどう集め、どう使うかを考え実行する経験。おカネを集める上で必然的に関係してくる投資側の論理。

当事者目線で学びたいと思う。

新興国展開に関する話も同様だ。コンサルティングに活かすためではなく、例えば自分がある企業のインドへの事業展開を担当したらどうするべきなのか、卒業直後にそれを担うことが決まっていたら各クラスから何を学ばねばならないのか、そう考えて学びたい。

その他は興味を持った科目をできる限り組み込んだ。

製造業のオペレーションと比べてサービスのそれをマネージするかというのは自分の中で理解が浅い。一方で適当なスペックのものを効率的に生産できれば事業はうまくいくという時代ではない。ほとんどの産業において。その製品を通じて、その製品に纏わる物語を通じて、どのような経験を提供できるのかが大切になっているのだろう。その経験をかたちどるサービスはどうすればデザインし、提供し続けることができるのか。それを学びたい。そもそものサービス業のマネジメントにも興味がある。製造業より格段に複雑性が高いと考えられるから。

ハイテク産業でのマーケティングはスタートアップでの経験から興味を持った。一般的なマーケティングの話ではなく、この産業におけるマーケティングのキモもしくは汎用的な物の考え方は手に入れておきたい。

交渉。英語での交渉力を磨きたい。このクラスのみでできるわけはないが、その後自分で継続的に磨けるだけの受容体は身につけておきたい。

2014年上半期は、ケースの前後に思考を巡らせ、自然体で常にポジションをとり、現地の人とふれあう旅をしたい。

2014の目標を考えると、どうしてもあと半年を切っているMBA生活で何を成し遂げようかというところに集中してしまう。そしてそうすると自分の頭から離れない言葉がある。留学するに際して尊敬するパートナーの方から頂いた言葉だ。

”何かに挑戦することは良いことです。ただし、初期の目的を達成できれば”

その方らしい言葉だと思い握りしめている(初期の目的を達成できれば)。なのでここでまず初期の目的を振り返りたい。なぜ僕はIESE Business Schoolにきたのか。3つの目的があった。

まず自分の持っている”経営”に関する知識・スキルを体系的に整理したかった

大学を卒業しシステムエンジニアとしてキャリアをスタートした僕は、その数年毎に専門領域を変えてきた。IT、イノベーションマネジメント、そしてグローバル展開に関するコンサルティングだ。その都度、さらに言えばプロジェクト毎に必要な知識をひたすらインプットし、考え、イシューに対する解を出してきた。結果として凸凹ありながらそうして積み上げてきた自身の経験を、体系的に整理し固めたかった。

次に自身のとれるリーダーシップのスタイルを厚くしたかった

特にグローバル展開に関するコンサルティングをする中で、僕は複数カ国に跨るプロジェクトチームをリードする経験に恵まれた。そこで身を持って感じたことは、リーダーの力がそのプロジェクトの価値を規定するということだ。

プロジェクトには担当パートナーがおり、体制上彼/彼女がプロジェクトの品質に責任を負う。しかし実際に彼らでありクライアントと議論しプロジェクト進めるのはプロジェクトリーダーの責務だ。僕がもともと持っているスタイルはサーバント・リーダーシップに近い。

しかし、その1つのスタイルだけでいかなるシチュエーションもリードできるかといえばそうではないだろう。時に、クライアントが反対しても、仲間が反対しても、自身のポジションをとり、粘り強く会話を重ね、チームを引っ張る必要があるだろう。限られた期間・リソースの中でのプロジェクトなのだから、それぞれが真剣に考えぶつかり合う、そういったシチュエーションが多くてしかるべきだ。

その状況で自身のパフォーマンスは満足のいくものとはいえなかったと解釈している。結果が全てだが、結果の良し悪しをコントロールするためには手段にこだわる必要がある。その際に自分をリーダーとしてもっと良い存在する必要があるという思いを強くしていた。

そして海外で生活してみたかった

仕事で新興国へ行く機会が増えるまで、自身の人生で海外に滞在したことは合計して3週間しかなかった。しかもそのうち2週間は大学時代の旅行だ。海外・英語とは無縁の人生を歩んできた。

どこかに書いたかもしれないが人生で初めて受けたTOEICは430点だった。リスクニングの時間には起きていることさえままならない事もあったし、リーディングは時間内に全問考えて選択する余裕なんてなかった。

ただ自分の人生を日本に住んでいるだけで終えていいのかという漠然とした思いだけ心の隅に常にあった。日本とは異なる街並みであり風土、文化、人、言語、等の中に自分を置き、それらと出会い人生の幅を広げたかった。

 

では今それらに対してどのように評価できるか、達成したと言うために何が足りないのかを考えたい。

”経営”に関する知識・スキルで足りないのは”リアリティ”と”使う力”だ

体系的に学べていると思う。一方で気付かされるのは、リアリティが不足しているということ、現場で使う力を育てにくいということだ。2つは関係している。レクチャーよりケーススタディのほうがリアリティも使う力も身につくと考えている。一方で、何のクラスであるか、どのテーマを扱うクラスであるかが明らかであり、それを学ぶためのケースであるという前提の存在は大きい。

現実において、今回は戦略にイシューがあります、財務にイシューがありますなどと教えてもらうことはできない。また1つの学問領域のみに課題が閉じて存在することもない。その最も大切な部分を抜かして学んでいる以上、リアリティと、得たスキルを統べて使いこなす力はまだ不足している。

リーダーシップのスタイルに関して足りないのは”経験”だ

特に1st yearのチームにおいてたくさんの経験ができたと思う。コンサルタントとMBAのチームワークの違いとして説明した(2nd TermのクラスとMBAとコンサルティングのチームワークの違い3つ)ような中でチームのアウトプットを良い物にし続ける必要があった。すっとんきょうな事をいう仲間に対しては明確にNoとポジションを示し議論を前に進めていく必要があった。

しかしまだ足りないだろう。リーダーシップの経験の一番根本にあるのは、リード・マイセルフ、自分自身をリードすることだ。次いでリード・ピープル、リード・ソサエティと、リーダーシップの現象を起こす範囲が広がる。日常から自身の行動を省みて変えていくことで、習慣を変え、自然体で、自身のリーダーシップの幅を拡げることができるだろうと考える。

海外での生活で足りないのは”旅”と”人とのふれあい”だ

自分の場合、MBA生活に集中していると生活のほとんどの時間を家と学校の周辺で過ごすことになる。これはこれで貴重な経験だ。60カ国から集まった仲間と日々切磋琢磨するということさえその前の自分の人生と比べたら。

それでも、その生活もMBAという括りで考えれば多様性に乏しい集合だ。当初考えていた日本とは異なる街並みであり風土、文化、人、言語、等へ自分をもっと浸けるためには、バルセロナでありスペインを出て、多くの場所をめぐり、その過程でMBAの外の人とふれあうことが必要だ。

 

ということで、2014上半期は、初期の目的を達成するために、次の3つの目標を掲げる。

ケースの前後を考える

”リアリティ”と”使う力”をMBAの学びの中で磨くためには、ケースの前後を考えることが有用なのではないかと考えるに至った。経営戦略を扱うケースであっても、そもそもなぜそのシチュエーションにこの企業が陥ったのか、そして経営戦略に関する変化を加え、意思決定を新たにした後にこの企業はどうなるか。実行し結果を得るために何をどう実行しきらねばならないのか。

ケースに取り上げられる状況は、企業のライフサイクルからすれば一瞬だろう。そこで何らかの解を導出しても、実行しきって初めてその価値を享受できる。であればその先をいかに見通すかというのは、思考実験(ケース)の域を出ずともリアリティを磨くのに資するのではないだろうか。

(どっちでもいいと)流すことを禁止する。”常に”ポジションを明確にする

自分を振り返ると、ポジションをとるべき時は明確にとるようにしてきたが、そうでもないときは流してきた。イシューに関係のない議論になった際にはその議論が終わるまで自分の中で関係のあることを考え続ける等。

そうして議論から浮くことを禁止する。関係のない議論になったと感じたら、関係ないから議論が不要だというポジションを明確にとるもしくは、関係を教えほしいと明確にメッセージするようにする。その上で、関係性が認められるのならその議論におけるポジションをとる。認められないのなら関係のある議論に集中するよう動く。不要な軋轢をうまぬよう、しゃちほこばらず肩の力を抜いていきたい。

旅行して、現地の人と会話する

卒業しスペインでの生活に幕を下ろすまでの間に特に欧州を色々と巡りたい。そしてその過程で極力現地の人と近づいてみたい。バルであったり、街で建築物の写真を撮りながらであったりの何気ない会話かもしれない。仲間内で旅行に行って、仲間内でワイワイして、という旅行も楽しいし勿論好きだ。加えて自分をもっと海外に近づけるために、一味違う旅行も楽しみたい。

 

2014の目標ではなく残りのMBA生活での目標となった。来週から5th Termが始まる。1Hはこの方針で走っていきたい。