経営の未来 1/2

経営の未来
ゲイリー ハメル (著)
素晴らしい一冊。まずは軽く流し読みをしようと思っていたのだが最初から本にひきこまれて最後までしっかりと読み込んでしまった。これから先も読み返していくことになるだろうと思う。
21世紀、これからの企業がもつべき経営管理モデルについて、正解こそ示しはしない(それは今ここで分かるものではないと明言している)が、効果的ないくつもの問いと事例を示してくれる。
簡単に言うと、

20世紀、工業化社会時代の経営管理は一部の人間の意図的戦略を策定・実行するためのシステムだった。それに対して今後、21世紀に求められるのは一部に限らず全ての人の創造力と、その意義に従う力を最大限利用した創発的戦略を継続的に策定・実行するシステムである

ということだろう。
単純化して、企業が成長するために2つのものが必要だとする。1つは成長の方向性(自社にとっての成長とは何か?)1つはそこにたどり着く力。
過去の経営管理システムは以下の前提に基づいていた。成長の方向性を見極めるのは難しく、一部の人間にしかできないこと(一部の人間にはできること)である。そこにたどり着くためには体系的(組織的)に必要な作業を分業し、それぞれにおける専門性を高めることで、総体としての力を強められるというものだ。

過去の経営管理システムの前提
・成長の方向性を見定めるのは選ばれた人間にしかできない
・人は自分の活動の範囲と目的を明確に定められないと活動のパフォーマンスを最大化できない
・(企業が大きくなるにつれて)分業し、個々人が正確に理解できる範囲の仕事について専門性をたかめることでパフォーマンスを高めることができる

選ばれた人間が策定した戦略と、そに必要だと考えられるリソースが上から下へ配分されていき、結果ととして個々人の役割と目標になる。個々人に求められるのはその役割を全うし、目標を達成することであり、全員がばらばらに分業された(理解できる・実行できるだろうと区切られた範囲の)仕事を全うすることによって、結果として成長を達成するのだ。
時代が変わった。
人間の生活レベルが高まり、生活における欲求は多様化・高度化した、結果製品・サービスが複雑化した。ビジネスの相手となる人間は一定の地域にとどまらず世界中に存在する。それらを相手にしていかないと一定の規模で競争に勝ち続けることは難しい。
そのような中、階層型組織の上にいる人間だけで”正しい”戦略を立てることができるだろうか。いろいろな現場の意図が含められた現実とタイムラグのあるデータは戦略を立てる有用なインプットということができるだろうか。
一方で、そのような(良くいえば)現場に創造力を求める人間を相手にビジネスをする現場に創造力は蓄積されていないのだろうか?されているとして彼らに上の意図でばらした仕事だけを任せて効率を求めることが彼らの力を最大限発揮させているということができるだろうか?
そもそも現場を分業して、ビジネスの相手に直接触れる人間を限定してしまうことが正しいといえるのだろうか?そうやって強めた生産力によって生産される製品は本当に価値があるものなのだろうか?
今の時代の企業経営を20世紀、工業化社会の経営管理モデルで語ることに限界が生じているのではないか?新しいモデルが必要なのではないか?
(つづく)(若干無理やり感ありますが)

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