ファシリテーション・グラフィック

ファシリテーション・グラフィック。普段の仕事の中で、目的に対して会議毎の目的とゴールを設定してその達成に向けて会議を進めていくことはとても大事。それを円滑に・効果的にやっていくためにファシリテーションスキルに注目していくつか本を読んできた。その中の一冊。
とても良い本だと思う。
それはすぐに実践できる具体的なTips(主にアナログでの意見の広げ方・まとめ方・絞り方)が整理されているから。
会議からのアウトプットの質は、そこに集まっている人の知識・能力に依存する部分もあるがそれよりももっているものをいかにアウトプットに結び付けて使いこなすことができるか、各人の問題意識・参加意識を高めるかに依存すると思う。自分の中で確からしい結論を持っていて一歩引いて会議を見ている、部分的に口を出してあとは他人事のように聞いている、では集まっている意味がない。その結論をよりよいものに磨くこともできなければその結論に従って行動を起こす合意形成もなされない。その場の会議の質を高めることもできない(その結論をオープンにすれば飛躍的に高めることができるかもしれないのに)。
せっかくそれぞれのそれぞれにしかない強みを持った人間が集まる会議なのだから、やるからにはその価値は常に最大のものにしていきたいと思う。もちろんなんでもかんでも結論をその場で出せばいいというものではない、あくまで目指すべきところと現実の状況を感じとって、現実的な議論を設計していきたい。

ホームレス中学生

ホームレス中学生
気分転換に読もうと手にした一冊。文章も平易で感情も考えも素直に表現されていてすっと自分の中に入ってくる。なかなか得がたい(という表現が適切なのだろうか)経験を経て、周囲の環境に対してひねくれた解釈をもつことなく成長した裏に母親であり友達家族でありの愛情・友情がいかに良い影響を与えてくれたのかを感じさせる。
逆に言うと自分の生活環境の良し悪しよりも周りにいる人間の方が、そして誰がいるかということよりも、誰とどれだけ深い関係が築かれているかの方が人を成長させる上で大切かということを教えてくれる。

プロフェッショナル養成講座

プロフェッショナル養成講座。最近ばたばたとしていて自分が何をどこまでできているのか/いないのかを把握しきれなくなっている中で一度基本を確認しておきたいなと思って手にした一冊。現実でもがいている分過去に目にした内容でもより具体的に自分のこととして感じられているような気がした。読んでいて最も新鮮に感じたのはEQに関する記事だった。本の中では、”職場におけるEQの5つの因子”として以下をあげている(記事のサマリ)。
面白い?のはこういったEQの高さが必ずしも高い評価を得る要素になっていないということ。たとえば感情の自己統制ができ、思慮深く、あいまいさを判断する能力があったり、悪い衝動にノーといえる清廉潔白さは能力として認識されることが少ない。自分の感情を統制できることが”煮え切らない”と映ってしまったり、考え抜いた上で判断する人は情熱が欠如している人物だと思われたりすることが往々にしてある。
1. 自己認識
2. 自己統制
3. 動機づけ
4. 共感
5. ソーシャル・スキル

自己認識とは、自分の感情、長所・短所、欲求、衝動を深く理解すること。

これができる人は必要以上に深刻になることも無ければ、楽観的になりすぎることもない。自分自身に正直で他人にも正直。自己認識ができる人の決定はその人の価値観とかみ合っている。
これに欠ける人は自分が本当は何を大事にしているのかに目を向けず、揺れる心に引きずられ、判断ミスを犯しがち。
自己統制とは、感情の虜になることから救ってくれる因子。
これができる人は、もちろん不機嫌になったり情緒的な衝動に駆られることはあるが、それをコンとろるするすべを心得ている/利用する方法を見つけることができる。
動機付けは、自分自身が行動する意欲・原動力をつくりあげること。
優れたマネージャをみると、動機付けは巨額の報酬・名誉ある役職・一流企業に勤める社会的評価といった外的要因ではなく、”達成感”を得るために何かをしたいという欲求によってなされていることが多い。
共感とは、他人の感情を黙って受け入れることでもあらゆる人たちを喜ばせようとすることでもない。合理的な意思決定をする際に部下や社員の気持ちを思いやること。
共感の持てる人は、ちょっとしたしぐさに現れる心の機微を敏感に感じ取り、言葉の裏にあるメッセージを聞き取ることができる。
ソーシャル・スキルとは単なる人当たりの良さの問題ではなく、むしろ意図的な人当たりの良さ。
ソーシャル・スキルに優れた人は人脈が広い傾向がある。あらゆるタイプの人と見解の一致を見出すコツ、親和関係を築くコツを知っている。重要なことは一人では達成できないものだという認識で仕事をしているということ。
自分も含めてだが、人を見ていると何かしらの背景があって、起こっている現実を捕らえる視点でありそのインパクトの大きさが変ってくるのだなと感じる。例えば、
1. 過去に論理的思考の塊のような先輩コンサルに散々叩かれ、自身の論理的思考力弱さ・必要性を痛感する
2. 普段から自分・他人の論理性に対する感度が鋭くなる
このときにそれ以外の感度が相対的に低くなっていること、コミュニケーションの目的は論理的に正しくあることが全てではないということを自覚し、コントロールしないとコミュニケーションがうまくいかなくなる。
3. そこにこだわってしまうあまりコミュニケーションにおける論理構造以外からの情報の感度が鈍る
4. 論理的でない人とのコミュニケーションに耐えられなくなる/論理構造の議論から抜けられなくなる
何かしらの本を読んでインパクトを受ける、プロジェクトの中で徹底的にぶつかり合ってインパクトを受ける、それらはとても良いことだと思うが、自分がどのような刺激を受け、優先順位が変ったとしてもそれは相手には関係ないし、何事に対してもその優先順位が正しいわけではない。
このあたり、ちゃんと整理して学習と実践をしていきたい。

不都合な真実

不都合な真実
いつだったろうか、金曜日に仕事を終えてからなんとなく近くの本屋へ立ち寄りそこで手にした一冊。視野を広げたかったのか、普段のビジネスとは違う視点が欲しかったのか、はたまたグラフィックの美しさに惹かれたのか。。。
詳細の調査に基づいた事実をバックグラウンドに、わかりやすく鋭いメッセージと美しい/わかりやすいグラフィックスによって構成されている素晴らしい本だと思う。また著者であるゴアの、息子の事故を契機とした自分の人生における価値観の変化にもスポットライトが当たっていて興味深い。
友達だったりから仕事上の話を聞いたりキャリアの話を聞いたりしていると、所属している組織の中で”茹でがえる”になることに対する漠然とした不安が自己研鑽へのインセンティブになっているケースが結構ある。僕も昔そういうことを感じていたことを覚えている。
では、その所属している組織というのを”地球”として捉えたときに自分たちは”茹でがえる”になることへの不安を抱くことができているだろうか、文字通り時々刻々と温度を上げ続けている地球の中で自分たちが何をするべきかというところに思考をめぐらせることができているだろうか。
なにもしゃちほこばらずとも日々の生活の中で気をつけられることはいくらでもある(本の中でもいくつか紹介されている(アイドリングをやめるとか、シャワーではなくお風呂の水を使うとか本当に日常の中でできることだ))。それをやることの大切さを理解できているだろうか/実践できているだろうか。
何も崇高なビジョンや価値観を持つ必要はないのだけど、自分が生きていくうえで、どこに所属しているのか。そこに所属している上で果たすべき義務は何か?自分ができる貢献は何か?
仕事やキャリアだけに囚われることなく、広く感じ・行動に移していきたいと思った。

【超】WORK HACKS!

【超】WORK HACKS!
自分の基本を改めて見つめなおすべく前に、”世界一やさしい問題解決の授業”を読んだ。それに引き続き自分の”仕事力”を見つめなおすべく、また具体的な行動につながるところですぐに改善できるところに手をつけていきたくて読んだ一冊。
具体的に行動に移せるレベルまでブレイクダウンしたノウハウを”Hacks”として紹介している。レベルを3つに分けて白帯・茶帯・黒帯として書いている。

白帯=駆け出し~一人前メンバー
茶帯=プロジェクトリーダー~マネージャ
黒帯=ディレクター~パートナー

といったところだろうか。このレベル、各レベルにおいて紹介されているHacksを自分がどこまで自分のものにできているかを考えてみると面白い。また帯を締めかえる時点におけるジレンマも紹介されていたりして、それが今の自分や、普段ともにプロジェクトに入っているメンバーにいくつか当てはまっていたりして面白かった。
引っかかる点が無く、するすると納得しながら読めた。すぐに実践できるような、ある意味で小手先に近い本を読むとだいたいその著者が言わんとすることのコンテクストだったり言っているノウハウそのものについて違和感を覚えることが少なくなかったりするのだけど、この本は全体にすぐに実践できることが書いてありつつも安っぽさを感じさせないものだった。
なんだろう。書かれていることはどれも当たり前の内容だったりするのだけど、一つ一つのHacksの重要性を語る視点が単に効率・効果を高めるという観点からではなく、個々人の成長であり、周りへの貢献という観点から丁寧に語られているからだろうか。個人の効率を高めようとするがゆえの他人へ与えてしまう”窮屈さ”や”冷たさ”といったところにも触れられており、それらをマネージするためにどうすればよいかというような観点で帯の色が濃くなっていってるからだろうか。
すぐに手をつけられるし、納得感の高い一冊。