私はこうして受付からCEOになった

私はこうして受付からCEOになった
カーリー・フィオリーナ (著)
詳細は後ほど
[1/16 23:29更新]
先日読んだ樋口さんの変人力にしてもそうだが、自分に率直に生き抜く人の言葉はなぜこうも力強く読む人の心に火をつけるのだろうか。自分に率直とはいえ独善的に自身の考え方や成長によっている節は全く無く、むしろ彼らの成長に終わりはないように感じられる。素直に尊敬し、改めて自身を謙虚に見つめなおすことができる。
この本で私がカーリーから受けとったメッセージのうち最も力強く輝いているものは”いつなんどきでも自分に正直に、率直にあれ”ということだ。
決してそうあれと彼女が本の中で語りかけているわけではない。ただ彼女がある会社の受付からキャリアをスタートして今に至るまで一貫してきた信念の1つがこれであり、その生き様であり考え方を本を通して垣間見た結果自分はこう感じるのだ。
彼女が大学時代に哲学を専攻していたことも手伝っているのだろうか。さまざまな書籍で語られるメッセージの核となる部分がちりばめられている。体系だった理論からそれらを得ることもできるのだと思うが、それ以上にこのような”生きた”言葉は力強く人の頭のみならず心を捉える。そんな気がする。

でも正しいと信じたことをしたのだから、やましいところはない。持てる力をすべて、正しいと信じたことに使った。私はたしかに、ミスを犯した。けれども何かを変えたことも、たしかだ。自分の選択にも、その結果にも、後悔していない。一度たりとも自分を偽っていないのだから。

質問をして、相手に敬意を払い、答えを注意深く聞いて学ぶ – これは、マネジメントでも効果的である。

人間はいつも選んでいる。自分がどういう人間かを選ぶことはできないけれど、どう生きるかは選べるのだ。選ぶのをやめるのは、ゆっくりと死に始めることだ

私の人生は、私のもの。

次の仕事のことを考えてはだめ。目の前の仕事にベストを尽くしなさい。誰からでも、どんなことでも、学びなさい。自分の力を出し惜しんではいけない。全力を尽くしていれば、必ず誰かがチャンスをくれる。

最も理想的な指導者は、部下から存在することさえ意識されない。部下から尊敬される指導者はこれより一段劣る。

自分の人生は自分のモノサシで測って

自分の知識や行動に自信を持つことはとても大切だ。自信がなければよい決断を下すことはできない。だが同じくらい大切なことがある。それは、自分は何を知らないか、自分には何ができないか、現実的に評価することだ。それをしないと、自信は自信過剰になる。

上手に交渉を進めるには、相手を知ること、相手に敬意を払うことが欠かせない。相手が大切にすることを自分も大切にし、時間をかけて信頼を得る。ビジネスの世界では、人は信頼と尊敬で結ばれている。信頼と尊敬だけが交渉を成功させ、対立する人間同士を結びつける役割を果たせるのである。

リーダーは、社長であれCEOであれ、部下に、「変われ」と命令することはできないのだ。リーダーの言葉を聞く。行動を見る。そして、応えるかどうかを選ぶのは部下自身である。

リーダーの資質は3つあるというのが私の持論である。第一は、人格。率直で勇気があること。第二は、能力。自分の強みを知り、それを生かせること。足りないところを知り、他人に任せたり、学習したりできること。第三は、協調性である。いつ助けが必要かを見越して手を差しのべること。広い人脈を持ち、進んで情報の共有ができること。

いちばん危険なのは逃げ出すことなのだ。大事なのは、目標に向かって進み続けることである。失敗したら立ち上がって前を向かなければならない。

事実を見る。事実を話す。事実に基づいて行動する。本当のことを話すのが、相手に敬意を示すことだと思う。

#タイトル、デザインともに原著の方が良いと思う。
Tough Choices: A Memoir
特にタイトルは、原著の方が著者が貫いてきた信念を強く・シンプルに訴えている。なんで最近ありがちな、つまらないタイトルにしてしまったのだろう。もったいなく感じてしまう。

「私はこうして受付からCEOになった」への10件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS:
    確かに日本版は残念な感じだね。ターゲットリーダーが持つ前提知識がぜんぜん違うから、やむなく変えたんかな?

    原著は、Tough Choices: A Memoirがタイトルっていうよりは、フィオリーナの顔と名前がタイトルで、Tough Choices: A Memoirがサブタイトルって感じのデザインだね。

    このままで日本で売るとなると、
    1. カーリーフィオリーナって誰?
    2.この写真の女性はヒラリークリントンですか?
    3.難しい選択肢ってなんのこと?
    という3つの疑問から、「私がこの本を読む理由ってないな」と結論づけられてしまう。

    一方、ITベンチャー、社長、女性企業家、女性経営者、六本木ヒルズ、ミッドタウン、などのキーワードにあこがれつつも、「結局さぁ、私は『ハケンの品格』の篠原みたいにはかっこよくないよな~」と半ば「仕事に生きる自分」をあきらめちゃってる女性に売り込むために、このタイトル、この階段とハイヒール、そして煽り文句を書いたんだろうね。フィオリーナが上った階段はもっとSteepだったと思うが、このぐらい緩い方が日本にあってるかも。

    「愚直論」なんかは好きなタイトルだなあ。

  2. SECRET: 0
    PASS:
    ジョージさん、コメントありがとうございます(^^)
    デザインとタイトルの関係、邦訳タイトルの意図、ジョージさんの言うとおりだと思います。
    この本を手にした時からタイトルには違和感を覚えていたのですが、内容を読んで一層、本に秘められた力をタイトルがあまりにも曇らせているというか丸めてしまっているということをもったいなく感じました。

    #ちなみに「愚直論」、タイトル好きです。内容(樋口さんの信念でありメッセージ)と重なるものだかかもしれません(^^)

  3. SECRET: 0
    PASS:
    こんにちは。
    「CEOになった」、読みました。
    私は当時のメディアの印象しかなかったので、
    本書を読んで、けっこうイメージが変わりました。
    上のジョージさんのコメント、
    「女性はヒラリークリントンですか?」
    には、笑いました。
    TBさせていただきます。

  4. SECRET: 0
    PASS:
    ikadokuさん、ありがとうございます。ikadokuさんのblog拝見いたしました。今後も読む本が重なることあるかと思いますがよろしくお願いしますね(^^)

  5. SECRET: 0
    PASS:
    ikukichiさん、とてもたくさんの刺激と学びが得られる本だと思います。また感想など聞かせてくださいね(^^)

  6. SECRET: 0
    PASS:
    ikukichiさんもですか!確か私も最初の導入部というかそのあたりで目頭を熱くした覚えがあります。
    本の中で言っているとおり、真っ直ぐで正直な心からのメッセージが胸を打つんですね。

コメントを残す