プレミアム戦略

プレミアム戦略
遠藤 功 (著)
昨年の年末頃だったろうか、プレミアム戦略という言葉を人の口から聞いたことがあったので、その意図や背景を理解したいなと思って手にした一冊。
キーワードが同じだけで意図や背景までわかるのか?という気がするかもしれないが、その方が相当の読書家であり、また知識の吸収⇔活用・進化のサイクルが極めて早いのでもしやと。少なくともその人の意図を理解する一助となるのではないかと。
そんなきっかけはさておき、私個人としては出会えて良かっと思うし内容にも共感する。文章量は多くなく、簡潔にまとめられているので2時間程度でゆっくりと読むことができた。また要点も理解しやすかった。
個人的に共感したのはプレミアムの価値の源泉についてとそして著者のこの本に込めた意志についてだ。それらが改めて自分がコンサルタントとしてどうありたいかを考えさせてくれた。

プレミアムの価値の源泉は、あくまでも「作り手の強烈な主観とこだわり」である。
<中略>
重要なのは、作り手の主観、自分たちが生み出す絶対価値がいかなるものであるかを、じっくりと伝えることである。この「ストーリー・テリング」の品質こそが、「本物」をプレミアム足らしめる分岐点である。

プレミアムとは、ひとことで言ってしまえば「惚れる」ことである。
自分がほれ込んでしまうような商品やサービスに出会えた時、人は五感で「豊かさ」を感じ、幸せになる。人との「出会い」が「豊かさ」をもたらすように、惚れ込むようなモノやサービスとの「出会い」も、人生を豊かにする貴重なアクセントになる。
<中略>
世界の人たちに「惚れられる」ような独自の価値を持つ商品やサービスを提供できる個性溢れる日本企業が増えた時、日本という国自体がより「豊か」になるのではないかと筆者は信じている。

私は新規事業戦略立案~立上げに関するコンサルティングを専門としているが、その中で意識しているのは”そのクライアントらしい”(必要があれば新たな”らしさ”を構築するところから考える)、”そのクライアントだからこそやるべき”、”そのクライアントだからこそできる”ことは何か?というところだ。
これらを考え抜き、実際の事業に練りこむことで”作り手の強烈な主観とこだわり”が構築され、それが自社のビジョンやその事業に込めた自分たちのそしてクライアントのお客様に経験して欲しいストーリーをとして紡がれて語られていくものになる・語るべきメッセージになると考え、本の内容とリンクしたのだ。
勿論全ての新規事業が必ずしもプレミアム戦略をとるということはない。
それでも新規事業の魂の部分には徹底的な自社らしさとお客様への提供価値へのこだわりを持っていたい。
以下に、プレミアム戦略の概要を抜粋する。

プレミアムというのは「差別化戦略」ではなく、あくまで「プレミアム・ニッチ」という隙間を狙う「集中戦略」だ

プレミアムで成功するために必要な3つのパラダイム・シフト
1. 「たくさん売ろう」としない
2. 「カスタマー」ではなく「ファン」を作る
3. 「マーケティング」ではなく「ストーリー・テリング」

具体的な戦略策定における8つの原則
1. 「作り手の主観」こそがプレミアムの命
2. 常に「モダン」でありつづけること
3. 派手な広告・宣伝はしない
4. 飢餓感・枯渇感を醸成する
5. 安易な拡張は行わない
6. 販路を絞り込む
7. 細部にこだわる
8. グローバルを目指す

日本発のプレミアムを成功させるために日本企業がするべきこと
1. 本物の「職人」を育てる
2. 「ストーリー・テラー」を育てる
3. 上場にこだわらない
4. 仕事に「ゆとり」を
5. 「できる」と信じる

#今回はWebを検索したところいい感じのイメージがなかったので本の写真を自分で撮りました(できれば背景(机)の部分を削りたかったのですがやり方がわからず(^^;))