自信と謙虚さと。

最近始まろうとしているプロジェクトのアプローチについて相談を受けることが何度かある。自分が昨年末でプロジェクトに区切りがつき当時に比べて比較的余裕があることも手伝って、時間をとってミーティングをする。
マネージャー、メンバーが集まって相談のポイントを確認してディスカッションに入る。その中でマネージャの方がメンバーに対して語りかけていたメッセージが印象的だった。

「今のやり方ならクライアントが絶対に成功するって心から信じることができるか?」
「不確実性が高いのは誰しもわかってる。その中で自分たちが不安を抱えていてはダメだ。クライアントはもっと大きな不安を抱えているのだ。」
「自分達がこれなら絶対に成功するって信じられるものをつくっていこうじゃないか。」

表面的に聞けば当たり前で終わってしまうのかもしれないが、これは2つの意味で大切なメッセージだと思う。
1つは基本的なことだが、それができなければクライアントと真剣なディスカッションができない。
もう1つは、こう言われることでメンバーが自身の感覚に敏感に反応するようになる。”どこか/何か違う”という曖昧な感覚がどこから来ているのか明確に考えて解消しようとする。妥協せず、困難に屈せずに自分として胸が張れる仮説であり検証結果でありを示せるようになる(特にタフな場面で大切)。
そして上記を満たした上で大切になってくるのは謙虚さだ。
自分として胸が張れるものがあくまで仮説であること、検証されて確からしいとしてもその答えを(さまざまな責任も伴って)背負うのはクライアントであることを忘れず、あくまで謙虚さを持ってディスカッションを重ね、(論理的にも情緒的にも)より良いものへ進化させていくことだ。
自信を持つことは大切だが、コンサルタントが自信を持った論理をクライアントが求めているわけではない。それはあくまでクライアントの頭に訴えかけるものでこそあれ、心に響き、体を動かすために十分なものではない。
ましてやコンサルタントの自己満足に価値はない。
マネージャが語りかけるその言葉・姿勢から、改めて考えさせてもらうことができた。