理性の限界

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性
高橋 昌一郎 (著)
息抜きのつもりで読んでいたのだけどつい入り込んでしまった。
次の問いかけに、選択・科学・知識の3つの限界からアプローチする。

P.8
私たち人間は、何を、どこまで、どのようにして知ることができるのでしょうか?いつか将来、あらゆる問題を理性的に解決できる日が来るのでしょうか?あるいは、人間の理性には、永遠に超えられない限界があるのでしょうか?

全体にパネルディスカッション形式で各分野の識者が話し合うように描かれているので、面白く読み易い。
表現したい主張があってそれに必要な識者を登場させているのだと思うけど、いったい何人出てくるんだ?っていう位多彩な人々が登場する。しかもそれぞれの立場が明確にされている。これだけのキャラクターをデザインして登場させられる筆者の幅広い知識と表現力は尊敬に値する。各理論にわかりやすい(できるだけ身近に感じられる)事例が示されているのも良い。
選択の限界で、特にゲーム理論について論じられているところは、比較的自分の仕事に近いこともあって興味を惹いた。
科学の限界は個人的に全て面白かった。ニュートン力学と相対性理論、相対性理論と量子論、不確定性原理。実在定期解釈と相補的解釈。”パラダイム”の定義。

P.168
「パラダイム」を「一定期間、科学者集団に対して、問題と解答のモデルを与える一般的に認知された科学的業績」と定義しています

これはトマス・クーンが1962年に『科学革命の構造』で記述したもの。この本は前から興味があって既に購入済み。読むのが楽しみだ。
知識の限界は、ロジックをどのように数式に置き換えていくか、シンプルな公理のもとにおくか、というのが読んでいて面白かった。途中あまり興味を惹かない内容もあったが。

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