イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマ
本としての構成の完成度も高いし、内容も濃密だった。
構成で良いと感じたのは2つ。1つは筆者が実際に自動車業界の1マネージャとして電気自動車をどう扱っていくかを、本の内容の示唆に従ってケースとして書かれているので考える過程がトレースでき理解しやすいこと。1つは最後にこの本の主張が完結にまとめられており、それを元にしたディスカッションのための問いかけが用意されていること。
内容については後日。
ということで内容について(5/11)。
イノベーションのジレンマというのは、簡単に書くと以下。(思いつくままに書いたので内容はまとまっていないです。)
●破壊的なイノベーションというのは最初は大企業のターゲットセグメントの要求を満たすものではなく、他の軸で評価しても既存技術より劣っているが、後に上記ターゲットセグメントの要求の軸をひっくり返す可能性の高いもの。
●大企業はターゲットセグメントの要求を吸い上げてそれを満たすようなイノベーションを起こし続けることで優位性を築いている、且つ株主の期待を継続的に満たす成長を続けることが強く求められるため、上記破壊的イノベーションが存在する小規模市場、もしくは市場形成される前の段階でそこに参入することをしない(ビジネスモデルの構造、成長維持向上のため選択できない)。
●その結果ターゲット顧客の軸をひっくり返され始めたときには、それを満たすようなイノベーションを起こそうとしても間に合わず、遂にはリーダーの座を追われてしまう。
大企業、リーダー企業として存在できていた理由 ≒ 破壊的イノベーションによってその座を追われる理由、ということになってしまうというところがイノベーションのジレンマ。
どうやってこのジレンマを解消したらいいのだろうか。
考えてみてふと頭に浮かんできたのが”成熟度”というものだ。
最初に頭に浮かんだのは”株主の成熟度”というもの。
株主が破壊的イノベーションへの投資をgoといえるだけの判断力を持っていれば、というもの。
上記のジレンマを考えたときに、企業としては、破壊的イノベーションの芽を自社内/自社外に見つけることができたら、それを追求し自社がそれをリードするための組織を”小さく(適正な規模で)”つくり、自社の本業から切り離して運営させることで追いかけられると思う。勿論それが本当に”破壊的な”イノベーションなのかどうかの判断、その判断が正しいとしてもそれがいつ本業のターゲットの従来の要求の軸を”破壊”しうるのか、という不確実性は存在する。しかし、そのリスクは実際に自社のターゲットの要求の軸を破壊されるリスクに比べたらとるべきものであると判断できるだろう。
しかしそのときにネックになるのが2つめの●で書いた株主の期待だ。
このイノベーションは何%の確率で破壊的になる可能性があり、そこに手を打つのにどれだけのコストがかかる、ただその投資が何年後、自社の株主価値にどれだけ貢献すると見込まれる。
という話を株主を説得するに足るロジックと根拠を持って語るのは困難だ。
ここで、もし不確実な投資、ロジックが若干曖昧な説明であっても、それが正しかった場合に投資していなかったときのリスクを考え、天秤にかけて投資をGoといえるだけの株主の判断力が必要になるのではないか、ということ。
あくまで想定だけど、自分が株主になるなら、何かこう、優等生の戦略を常に描いている企業よりも、わくわくさせる、世の中の人々の心を輝かせる、ロジックでは判断しきれないけど投資したくなる”何か”を持ってる企業の株を持ちたいと思う。
待てよと。
株主への説明を明確にするのは本当に困難なのだろうか。
説明されるときに本当に欲しいのは、投資対象そのもののリスクも気になるが、それをどういうスタンスで追いかけようとしているのか、という部分じゃないだろうか。(勿論規模によるけど、破壊的イノベーションは小規模からスタートする可能性が高い。従って投資の額そのものは小さいと考えられる。)
自社として株主価値を分解したときに、そこに貢献する(であろう)ものの要素の1つとして、”イノベーション”に関する指標を入れて、それを追いかける際のKPI、Go/NoGoの判断のポイントと基準を明確にしたら株主の不安はいくらか拭えるのではないだろうか。
そもそも小額の投資なのであれば、株主はそこまで細かく指摘し、期待を裏切られたと嫌気したりするのだろうか。
株主の成熟度が低くても、企業からイノベーションに関しての”見える”度合いを上げることができれば良いのではないだろうか。
次に浮かんだのは”市場(顧客)の成熟度”というもの。
プロダクトアウトからマーケットインへ考え方がシフトして久しいと思う。
自分たちが顧客のニーズを定義できる時代は過ぎた。顧客のニーズは多様化/細分化しており、それぞれを満たすために市場の声に耳を傾け、必要としているものを市場へ届けなくてはならない、と。
そのために戦略を練る。その戦略を実現するための何ができればいいのかを練る。それを実現するのに適した手段を選び、実行していく。
市場ニーズを頂点にしたピラミッド構造ができあがる。
従って、戦略を支える”できるべきこと”、できるべきことを支える”手段”は市場のニーズに従う。
上記構造がキレイにできていると、”手段”は市場のニーズを満たすのにどれだけ貢献するかという軸で評価されるため、市場のニーズを満たさない、もしくは満たすが貢献が小さいと判断される”手段”は種の段階で捨てられてしまう。
ここで考える。
市場がニーズとして持っているものの確からしさはどの程度なのだろうか、と。
逆に市場のニーズは満たせない/満たす貢献度は低いであろう種や芽から市場のニーズを掘り起こす、確かめるというアプローチが必要なのではないか、と。
企業として、顧客ニーズを満たす、というか顧客に対して自社の存在価値を最大化する努力を継続することは必要不可欠な活動だ。ただ、それと今の顧客のニーズのみ満たすということは”=”ではないということを認識する必要があるのではないだろうか。
そして、上記、将来のニーズを掘り起こすために戦略、Capabilityに紐付かないEnablerも、そこから逆にニーズに結び付けてみる、仮説を立てて検証してみる。そういう”場”を持っている必要があるのではないか、と。
…思いつくままに書いてみると本当にばらばらだな(^^;)
未熟。発散するにしてもそのスピードも広がりも。

iPod

そろそろCD/MDを卒業してiTMSを使いたい/iPodが欲しいと思う今日この頃。
そしてオークションにも挑戦して家にあるつかっていないものたちも、もっと有効活用してくれる方にお届けしたいと思う今日この頃。

GWをまとめて

あっという間に終わったGW。久しぶりにPCを持ち歩かずに出歩いた。本日早朝からメールチェックを始めるもクリティカルなものはさすがに無かった。周りも無事にゴールデンウィークを楽しめたのだと思いたい(^^)
ということで遅ればせながらGWを簡単に振り返りながらまとめたい。簡単に書くと東京から京都/大阪までぶらぶらと飲み歩いたって感じ。
5/3(水)は昼のうちに実家に帰り家族と昼食。その後夕方から大学時代の友達と合流しそこからどんちゃん。どれくらいだろう、19時くらいから5時前くらいまでかな。笑いながら歌いながら飲み続けた。集まるとみんな変わらない、相変わらずの仲間だ(^^)勿論、転職・結婚・出産・育児等みんなそれぞれの変化があって久しぶりに会っているのだけど、やっぱり根っこの部分は変わっていない。何かで悩んでいたり、ぱっとし無かったりというのがあっても、集まれば不思議、元気で楽しい仲間だ。
(このあたりは写真が絵的に辛いため割愛(^^;))
そして5/4(木)は大阪へ移動。かつての近所をぶらぶらしながら変化に驚きつつ、懐かしみつつ。特に、道頓堀の両サイドを歩けるようになっていたことと、そこにあったドンキホーテ(の風貌)にはビックリ。一年半という時間を感じた。夜は大阪にいた頃に良くつかっていたお店で大阪に住んでいる大学時代の友達とどんちゃん。仕事の話とか結婚の話を色々と聴いた。あいつも大人になったんだなぁ、って自分がいえた口ではないのだけどそれでも感じざるを得ない。嬉しいことだ。
そしてそのお店、がらりと様変わりしていた。ネガティブな方向に。
お店の入り口から何か汚いし、いつも流れていた入り口の小さい滝も止まって久しい雰囲気。”あー、いやな予感”と感じつつ階段を降りてお店に入ると案の定。バースペースは焼酎置き場に。中二階のスペースは封鎖。店員の接客レベルも全然違う。自主性、積極性、自信。何もない。注文が通っていなかったので聴いてみると、”それは私が伺ったのですか?”と。誰が伺ったかよりも大事なことってあるんだけどなあ、と思いながら適当にお願いしておいた。料理の味も微妙…。雰囲気が良く、料理も美味しくて安い素晴らしいお店だったのだけど…。って、なんでこうなったか気にしつつもここでは置いときます(^^)
5/5(金)は京都へ移動。大学時代をすごした京都。住んでいるときは全く持って何も感じていなかったのだけどいざ来て見るといいところだ(^^)結局お寺等は周らずにいつも遊んでいた街並みをふらふらと。全体に建物が低くて空が広く感じる。道は少々狭くて、人も多いし歩きにくいけど随所に趣を感じさせる通り。錦通りの活気は相変わらず歩いていて元気が出てくる。
夜は宇治へ移動。電車で宇治川を渡ったのだけど景色がいい(^^)東京から出てきて感じるのは前も書いた空の広さであり、自然の多さでありといったもの。とても気持ちがいい。
お世話になる家には1歳2ヶ月くらいの女の子の赤ちゃん(子供?)がいた。最初は怪訝な顔をされ泣かれるも徐々に慣れる。かわいいし遊んでいて全く飽きない。面白かった。ご馳走になった料理も美味しかった(^^)
5/6(土)は愛知へ移動。大学時代の友達と集まる。といっても集まりは夜だったので昼のうちに名古屋観光。むかし”愛知”に住んではいたものの、大学から関西へ出て行ったので名古屋はあんまり知らない。しかもイタリア村という観光地ができたということもあって早速早く集まれた友達と出動。
…まあ、楽しかったかな(^^;)
夜はどんちゃん。7割くらいが5/3にも一度集まっているのだけど、また集まる。そしてまた同じ。仕事の話、結婚の話、将来の話、その他他愛もない話をずーと繰り広げる。笑いっぱなし。中には自営業で自分の家に入った友達もいた。色々と考えているようで話を聴いていて面白かった。将来の経営者。大事な友達だししっかり支えられるようにコンサルタントとして成長しておきたいと思う(頼まれてないけど)(^^)
5/7(日)東京帰還
このGWからの結論、
●やっぱり友達っていい!
●やっぱり田舎っていい!
●忙しいとは心を亡くすと書くのです。
やっぱり亡くしてはいけないものってあるわけで、東京での日常ももっと好きなように楽しもうということ。で、たまには自然に触れるようにしてリラックスしていこうと。忙しいという字の通り、体がいそがしい、頭が忙しいのは大いに結構だけど、心を亡くてしまうことは避けたいな、と。
これから梅雨を越えて夏を向かえていくわけですが、楽しく行きたい(^^)

田舎の空

GW一日目。実家へ帰ってくる。帰ってきてつくづく感じるのだけど、田舎は空が広い(^^)夜は大学からの友達と外でのみ。飲みすぎて明日以降の予定に影響を及ぼさないようにしなくては…(^^;)

経営者になる 経営者を育てる

経営者になる 経営者を育てる
GWが始まる前夜に読みはじめ、読み終えた本。おかげで今年のGWは半徹夜からのスタートとなった。
経営者に必要なスキルセットのうち、右脳とハートにポジションされるものについてその内容と磨き方について書かれている。(ちなみに左脳にポジションされているのはマネジメントに必要な知識(MBAに体系づけられているもの)とロジカルシンキング)
右脳とハートにポジションされているスキルセット(アート系スキルと表現)は5つ。
①強烈な意志
②勇気
③インサイト
④しつこさ
⑤ソフトな統率力

まず強烈な意志を持っているからこそ他の4つのスキルを習得し磨くことができる。そして経営者として、個人で結果を出すために必要なスキルとして存在するのが、勇気、インサイト、しつこさ。これに加えて組織として結果を出すために必要になるスキルがソフトな統率力、という関係になっている。
①強烈な意志
経営者にとって最優先事項は”結果を出すこと”である。そのために何をすべきかを考え、いかなる犠牲を払ったとしてもそれを実行する意志を強く持たねばならない。結果を出すためにはプライドも捨てる、過去の自分も否定する、自分で結果が出せないなら出せる他人に頼むことも辞さない。
この意志の源泉は2つ。高い志と責任感である。
経営者の意志は単なる利己的な意志ではなく、利他的な意志でなくてはならない。そうでなければ他者がついてこない。その結果、個人の限界を迎えたところで企業の存続が困難になる。
②勇気
経営者は部下ではできない辛い意思決定を行う責任を負っている。それを下すのに必要なスキルが勇気である。代表的な勇気は4つある。
 ・トレードオフを理解した上で、どちらかを捨てる勇気
 ・不完全な情報下でも必要なタイミングで決断する勇気
 ・やめる勇気、変える勇気
 ・必要なら情を捨て人を切る勇気
わかっているのに意思決定できないのでは経営者としての責務を果たしていない。困難な状況であっても果敢に意思決定し、実行する勇気が求められる。
経営では、勝つための必要条件は満たさなくてはならないが、勝つための十分条件などない。その中では誤った意思決定をすることを恐れ、躊躇し、手遅れになることを何よりも恐れ、霧の中を進む勇気を持たなくてはならない。
この世で最後まで生き残る生物は、最も強い生物ではない。最も賢い生物でもない。変化し続ける生物だけが生き残れる。過去の成功経験にすがることなく、刻一刻と変化する外部環境に合わせて内部環境を変える勇気を持たなくてはならない。
現在の経営環境では過去の適任者=今日の適任者とは限らない。過去にどのような結果を出していようともプラスよりマイナスが多くなった場合は、その役職・地位を退いてもらう必要がある。経営者が結果を出せなければ、大量の退職者を出すことにもなりかねない。そうした事態を招くことが無いよう、情を捨てて人を切る勇気を持たなくてはならない。
以上勇気を正しく使うために必要になるのは、メンタル・タフネスとリスク管理、そして無私・倫理観である。
リスク管理に裏打ちされない勇気の行使は単なる蛮勇であり、企業を滅ぼす。倫理観に裏打ちされない勇気の行使は単なる非情であり、長期的には周囲のサポートが得られず、企業は衰退する。顧客のため、株主のため、従業員のため、という「無私の心」があってこそ、非情と思われる意思決定もできるし、周囲もついてくる。
③インサイト
既存のフレームワーク内でのロジカル・シンキングの限界を打破して、新しい視点から新しいフレームワークを考える力がインサイト。
現時点のフレームワークで説明できない現象にこそ次のビジネスチャンスあるいはリスクなど重要な”何か”が隠れていることが多い。
インサイトを養うために必要なのは、インサイトを得ることができるような発想法をとるクセ(習慣)をつけて、繰り返し経験をつむこと。
 ・わけがわからなくなったら、一歩引いて本質を見るクセをつける
 ・「二極性」で発想するクセをつける
 ・自分が「何にはまっているか」を客観視するクセをつける
 ・定石は必ず壊して進化させるクセをつける
 ・他人の頭をつかうクセをつける
④しつこさ
しつこさには2つある。考えるしつこさと実行するしつこさだ。経営においては、優れたアイディアを思いついただけで成功が約束されるということはまずない。アイディアが成功に結びつくかどうかは「考えるしつこさ」によって最初アイディアをどこまで進化させるかによる。
優秀な経営者ほど部外者の意見にもオープンに耳を傾ける。考えるしつこさがそうさせている。誰でも知っている情報をベースに考えられることなどは既にやりつくし、思考の飽和状態になっているときに、その殻を打ち破り、さらに思考を高めるために部外者の意見を吸収する。自分の器で考えられることを全てやりつくした境地に達した人は、かえって他人の考えを求めるようになる。自分の器をさらに大きくするためである。
また、経営に魔法の杖は無い。当たり前のことをどれだけしつこく考え、地道に実行し、しつこく継続できたかで差がついてくる。
⑤ソフトな統率力
企業ビジネスは、一人では成り立たない。いくら経営者が優秀であっても組織として力が出なければ企業は隆盛しない。ソフトな統率力は3つのサブ・スキルに分かれる。
 ・「夢」: 夢を掲げる能力
 ・「共有」: 夢を「共有」する能力
 ・「チャーム」: 経営者の人間的魅力
夢には志の高さと志の清さが求められる。
そしてその夢は単に”伝える”だけにとどまるのではなく”共有する”必要がある。こちらが言ったからといっても、聴いてもらえたわけではない。聞いてもらえたからといって、聴いてもらえたわけではない。聴いてもらえたからといって、理解してもらえたわけではない。理解してもらえたからといって、賛成してもらえたわけではない。賛成してもらえたからといって、腑に落ちて納得し行動しようと思ってもらえたわけではない。
そしてチャーム。志の高さ・清さ、ひたむきな徹底からにじみ出る人としての魅力である。ネアカであり、心の根の優しい善人であることが必要。
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当たり前ながら、上記のような文字がどれだけうまく右脳やハートに求められるスキルを伝えることができているのかはわからない。ただ、この本の中にちりばめられている、経営者や思想家の言葉1つ1つにはどれも重みがあり言葉の裏にある”何か”を伝えてくれていると感じている。
今はまだ経営者の方を直接支えられる存在にはなっていないのだけど、自分がこの世でやるべきことをしっかり掴んで、高い志と責任感で裏付けた意志を持って日々のビジネスに臨みたい。知識やスキルといったものは全て手段。ともすれば自身の体であり頭でありも手段。全ては心に宿る意志に従っていきるためのもの。
一時期迷って忘れかけていたものを思い出してきたような気がする。