田舎の空

GW一日目。実家へ帰ってくる。帰ってきてつくづく感じるのだけど、田舎は空が広い(^^)夜は大学からの友達と外でのみ。飲みすぎて明日以降の予定に影響を及ぼさないようにしなくては…(^^;)

経営者になる 経営者を育てる

経営者になる 経営者を育てる
GWが始まる前夜に読みはじめ、読み終えた本。おかげで今年のGWは半徹夜からのスタートとなった。
経営者に必要なスキルセットのうち、右脳とハートにポジションされるものについてその内容と磨き方について書かれている。(ちなみに左脳にポジションされているのはマネジメントに必要な知識(MBAに体系づけられているもの)とロジカルシンキング)
右脳とハートにポジションされているスキルセット(アート系スキルと表現)は5つ。
①強烈な意志
②勇気
③インサイト
④しつこさ
⑤ソフトな統率力

まず強烈な意志を持っているからこそ他の4つのスキルを習得し磨くことができる。そして経営者として、個人で結果を出すために必要なスキルとして存在するのが、勇気、インサイト、しつこさ。これに加えて組織として結果を出すために必要になるスキルがソフトな統率力、という関係になっている。
①強烈な意志
経営者にとって最優先事項は”結果を出すこと”である。そのために何をすべきかを考え、いかなる犠牲を払ったとしてもそれを実行する意志を強く持たねばならない。結果を出すためにはプライドも捨てる、過去の自分も否定する、自分で結果が出せないなら出せる他人に頼むことも辞さない。
この意志の源泉は2つ。高い志と責任感である。
経営者の意志は単なる利己的な意志ではなく、利他的な意志でなくてはならない。そうでなければ他者がついてこない。その結果、個人の限界を迎えたところで企業の存続が困難になる。
②勇気
経営者は部下ではできない辛い意思決定を行う責任を負っている。それを下すのに必要なスキルが勇気である。代表的な勇気は4つある。
 ・トレードオフを理解した上で、どちらかを捨てる勇気
 ・不完全な情報下でも必要なタイミングで決断する勇気
 ・やめる勇気、変える勇気
 ・必要なら情を捨て人を切る勇気
わかっているのに意思決定できないのでは経営者としての責務を果たしていない。困難な状況であっても果敢に意思決定し、実行する勇気が求められる。
経営では、勝つための必要条件は満たさなくてはならないが、勝つための十分条件などない。その中では誤った意思決定をすることを恐れ、躊躇し、手遅れになることを何よりも恐れ、霧の中を進む勇気を持たなくてはならない。
この世で最後まで生き残る生物は、最も強い生物ではない。最も賢い生物でもない。変化し続ける生物だけが生き残れる。過去の成功経験にすがることなく、刻一刻と変化する外部環境に合わせて内部環境を変える勇気を持たなくてはならない。
現在の経営環境では過去の適任者=今日の適任者とは限らない。過去にどのような結果を出していようともプラスよりマイナスが多くなった場合は、その役職・地位を退いてもらう必要がある。経営者が結果を出せなければ、大量の退職者を出すことにもなりかねない。そうした事態を招くことが無いよう、情を捨てて人を切る勇気を持たなくてはならない。
以上勇気を正しく使うために必要になるのは、メンタル・タフネスとリスク管理、そして無私・倫理観である。
リスク管理に裏打ちされない勇気の行使は単なる蛮勇であり、企業を滅ぼす。倫理観に裏打ちされない勇気の行使は単なる非情であり、長期的には周囲のサポートが得られず、企業は衰退する。顧客のため、株主のため、従業員のため、という「無私の心」があってこそ、非情と思われる意思決定もできるし、周囲もついてくる。
③インサイト
既存のフレームワーク内でのロジカル・シンキングの限界を打破して、新しい視点から新しいフレームワークを考える力がインサイト。
現時点のフレームワークで説明できない現象にこそ次のビジネスチャンスあるいはリスクなど重要な”何か”が隠れていることが多い。
インサイトを養うために必要なのは、インサイトを得ることができるような発想法をとるクセ(習慣)をつけて、繰り返し経験をつむこと。
 ・わけがわからなくなったら、一歩引いて本質を見るクセをつける
 ・「二極性」で発想するクセをつける
 ・自分が「何にはまっているか」を客観視するクセをつける
 ・定石は必ず壊して進化させるクセをつける
 ・他人の頭をつかうクセをつける
④しつこさ
しつこさには2つある。考えるしつこさと実行するしつこさだ。経営においては、優れたアイディアを思いついただけで成功が約束されるということはまずない。アイディアが成功に結びつくかどうかは「考えるしつこさ」によって最初アイディアをどこまで進化させるかによる。
優秀な経営者ほど部外者の意見にもオープンに耳を傾ける。考えるしつこさがそうさせている。誰でも知っている情報をベースに考えられることなどは既にやりつくし、思考の飽和状態になっているときに、その殻を打ち破り、さらに思考を高めるために部外者の意見を吸収する。自分の器で考えられることを全てやりつくした境地に達した人は、かえって他人の考えを求めるようになる。自分の器をさらに大きくするためである。
また、経営に魔法の杖は無い。当たり前のことをどれだけしつこく考え、地道に実行し、しつこく継続できたかで差がついてくる。
⑤ソフトな統率力
企業ビジネスは、一人では成り立たない。いくら経営者が優秀であっても組織として力が出なければ企業は隆盛しない。ソフトな統率力は3つのサブ・スキルに分かれる。
 ・「夢」: 夢を掲げる能力
 ・「共有」: 夢を「共有」する能力
 ・「チャーム」: 経営者の人間的魅力
夢には志の高さと志の清さが求められる。
そしてその夢は単に”伝える”だけにとどまるのではなく”共有する”必要がある。こちらが言ったからといっても、聴いてもらえたわけではない。聞いてもらえたからといって、聴いてもらえたわけではない。聴いてもらえたからといって、理解してもらえたわけではない。理解してもらえたからといって、賛成してもらえたわけではない。賛成してもらえたからといって、腑に落ちて納得し行動しようと思ってもらえたわけではない。
そしてチャーム。志の高さ・清さ、ひたむきな徹底からにじみ出る人としての魅力である。ネアカであり、心の根の優しい善人であることが必要。
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当たり前ながら、上記のような文字がどれだけうまく右脳やハートに求められるスキルを伝えることができているのかはわからない。ただ、この本の中にちりばめられている、経営者や思想家の言葉1つ1つにはどれも重みがあり言葉の裏にある”何か”を伝えてくれていると感じている。
今はまだ経営者の方を直接支えられる存在にはなっていないのだけど、自分がこの世でやるべきことをしっかり掴んで、高い志と責任感で裏付けた意志を持って日々のビジネスに臨みたい。知識やスキルといったものは全て手段。ともすれば自身の体であり頭でありも手段。全ては心に宿る意志に従っていきるためのもの。
一時期迷って忘れかけていたものを思い出してきたような気がする。