組織は人なり

組織は人なり
野中 郁次郎 (著, 監修), 吉田 久 (著), 成田 康修 (著), 坂井 秀夫 (著), 平田 透 (著), 磯村 和人 (著), 咲川 孝 (著), 東京電力技術開発研究所ヒューマンファクターグループ (編集)
野中さんが書かれたものだと思って購入。よくよくみれば監修でした。内容は論文集のようなかたちで各著者が2-3名で各章を書かれている。理論→ケース→ガイドブック→学説という流れで各章が構成されている。はじめに主張している理論があり、それを裏付けるケースがある。その理論を理解するのに参考になると思われる書籍が数冊紹介されて、最後に学説。
以下に抜粋するように個人的に学ぶ点は多かった。コンセプトも好きだし。しかし、ケースはボリュームが少なく、ガイドブックと学説の位置づけが不明確であるように感じた。研究過程の中間アウトプットを本に纏めてみたという感じか。

P.34
楽しめる仕事の条件
・変化に富むこと
・適切で柔軟な挑戦
・明確な目標
・直接的なフィードバック
(出典: Csikszentmihalyi, M. (1990) Flow: The Psychology of Optimal Experience, New York: Harper Collins)

P.46
成功 人間にとって成功とはいったい何だろう。結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、努力したかどうか、ではないだろうか。
(出典: 岡本太郎、『強く生きる言葉』 イースト・プレス)

P.71
信頼関係の破壊は、簡単に起こってしまう。その原因の具体例として、以下のようなものがあげられる。
1. 秘密を漏らす
2. 約束を破る
3. 公の場で恥をかかす
4. 嘘をつく
5. 情報を流さない
6. 当然入ると思っていたグループから除外される

P.78
およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかなければならない。
人を動かす秘訣は、まちがいなく、一つしかないのである。すなわち、自ら動きたくなる気持ちを起こさせること – これが、秘訣だ。
人を動かす唯一の方法は、その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやることだ。
(出典: デール・カーネギー、『人を動かす』 創元社)

P.108
魅力的な物語の条件として、以下のようなことがあげられる。
1. 聞き手を引き込む、期待と現実のギャップがあること
2. 人間の汚れた部分を隠さないこと
3. 見えない部分に真実が見えること

P.257
人のすべてえを科学的な指標により評価できるわけではない。科学的な経営学は、人間の創造性、そして主観や信念といった非合理的だが重要な側面を軽視してしまう。人は意志や信念の力によって、不可能とも思える目標を達成してしまう潜在性をもっており、問題は組織においてその能力を発揮する場を与えられているかどうかなのである。