「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト
酒井穣 (著)

酒井氏を知ったのは彼のブログを読んでいたのがきっかけだった。とっても濃い内容のブログを書かれていて、自分のブログと比べて反省した?ような記憶もある。

そして今回この新著を、最近人を育成するというテーマに興味があったので手にした。常々思うのだけどこの新書というのはコストパフォーマンスが良い。手ごろな値段で、面白いテーマを程よいレベルで学ぶことができる。

この本の特徴は3つある。

まず第一に本の構成ロジックがシンプルでわかりやすい(目次をみれば構造がすぐわかる)。次にノウハウが学問としてのフレームワークやコンセプトも織り交ぜながらわかりやすくまとめられている。小難しい言葉が使われることもないし、フレームワークだけでてきて話が宙に浮いてしまうようなところもない。最後に、極めて具体的だ。筆者含めて誰かの経験の裏づけが記されている。ちなみに後半には筆者の企業の人材育成のビジョンからKPIから実践における工夫からかくすところなく紹介されている。

社内人材育成や個人的な勉強会の運営方法等について考える/実際に動かす立場にある人は最初にこの本を通ってから専門性の高い書籍等にはいっていくのがいいのではないかと思える。それほどシンプル&コンパクトかつ具体的にこの本はまとめられている。
印象に残った部分をいくつか抜粋する。

P.38
能力の向上には適度な居心地の悪さが必要

P.55
人脈とは「誰を知っているか」ではなくて、「誰に知られているか」で決まるもの

P.80
企業における教育的瞬間としては、以下のようなものが挙げられます。
○内定から入社3年目程度までの新入社員期間
○新しいメンバーで新規プロジェクトが立ち上がるとき
○出世や異動の直後
○人材が仕事に行き詰まり、途方にくれているとき
○人材同士のぶつかり合いが度を越えてしまったとき
○中途入社の入社前から入社後3ヶ月程度の期間
○退職の前後

P.99
人は「教えた瞬間に学ばなくなる存在」なのですから、人材育成のデザインは「教えずに学ばせる」ことをめざさなくてはなりません。

P.122
修羅場の経験は大きく言って5つに分類することができます。それらは(1)業務上の大失敗、(2)昇進の遅れや降格、(3)部下の問題、(4)職制の変更や転勤、(5)個人的なトラウマ