仕組み進化論

小飼弾の 「仕組み」進化論
小飼 弾 (著)
いわずと知れたアルファブロガー、小飼さんの著作。僕が小飼さんの著作に触れるのはこれが初めて。開いてみると文字が少なく、とても読み易い。ところどころにでてくるquoteのデザインが小飼さんのブログを彷彿とさせる。
メッセージはいたってシンプル。人間だからこそできる仕事は減っている。その仕事をいつまでもやっているわけにはいかない。新しい仕事を創っていく必要がある。なので既存の仕事を仕組み化しましょう。新しい仕組みを創りだしていきましょう。そしてそのためのいくつかの助言が書かれている。
助言の最たるものが20%ルールの適用。Googleは時間の20%を本業以外の自由な研究に使うことをルールとして定めているが、そうではない。時間の20%で既存の仕組みでの仕事を終えて、残りの80%を新しい仕組みを創る方へ充てましょうというもの。
そのためにまず既存の仕事を仕組み化。生むべき価値は何なのか、それに結びつかない時間の使いか他をしていないか、もっと効率的に結び付けられるやり方はないのか(他のリソースに任せる、効率的に動かせる仕組みをつくる等)等。
勿論他のリソースに丸投げすればうまくいくというものではない。投げるなら何をどこに投げるか見極めるべきだし、投げる先に最も効率的に動いてもらうための仕組みが必要であればそれをつくるべき。安全性は確保するべきだし、誤っても下手に動いてしまうより誤ったらとまってしまう仕組みにしておいたほうがよかったり。特にこのあたりは感心した。
印象に残っている部分を一部抜粋。

P.36
人に仕組みを回してもらおうとするなら、その判断能力を最大限活かすことが大切です。

P.42
よくできた仕組みとは、自動化でヒューマンエラーを防ぐ仕組みや、リスクをほかに転化せずにそこで止まる仕組みを内包しているものなのです。

P.52(怠慢について)
全体の労力を減らすために手間を惜しまない気質。この気質の持ち主は、役立つプログラムを書いてみんなの苦労を減らしたり、同じ質問に何度も答えなくてもいいように文書を書いたりする。よってプログラマー第一の美徳である。

P.60(短気について)
コンピューターが怠慢なときに感じる怒り。この怒りの持ち主は、今ある問題に対応するプログラムにとどまらず、今後起こり得る問題を想定したプログラムを書く。少なくともそうしようとする。よって、プログラマーの第二の美徳である。

P.66(傲慢について)
神罰が下るほどの過剰な自尊心。または人様に対して恥ずかしくないプログラムを書き、また保守しようとする気質。よってプログラマーの第三の美徳である。

P.112
ゴールが見えていれば、それに向かって自身の行動を調整することができます。ゴールを見せないことは、各人の知能を無駄にすること。意外に、これを理解していない会社は少なくないように思います。

P.181
何が正しいかではなく、生き残ったものが正しいのです。そのためには、自分自身や組織の目的、あるいは自分たちに求められている(と思っている)本質的なコトを疑ってみましょう。それが生き残り戦略につながります。

P.184
ブルー・オーシャンが青いのにはたいてい理由があるもので、それを見抜けるかどうかが生死を分けることになります。その海の青い理由が、誰にも見つかっていなかったからということはまずないと考えた方が良いでしょう。あなたがブルー・オーシャンを初めて見つけたと思ってもすでに10番目で、先に試した9人のうち3人は死んでいる。そんなことも珍しくありません。

P.208
あなたは本当に働いていますか?働いているつもりで、たんに既存の仕組みを回しているだけということはありませんか?クリエイティブな仕事をしているつもりでも、たんに既存のテンプレートを使ってモノを作っているだけではありませんか?

へんないきもの

へんないきもの
早川 いくを (著)
以前、パートナーから本をもらったと書いていたのだけどその中の1冊でずっと気になっていた1冊。今日遂に読んでみた。
とっても面白かった。タイトルから”へんないきもの”について書かれているだろうというのは誰しもが想像しうるところだと思うが、そのへんないきものの生態以上に筆者のネタ口調が面白い。ところどころに(へんないきものの生態を語る上では)どうでもいいような、そして本当かウソか一見わからないような(どっちでもいい)ネタをはさんでくる。思わず噴出してしまった。
ネタばれになってしまうので面白かったところを抜粋とはしないがオススメの一冊。特に”オトナ語の謎”のようなノリが好きな人は楽しめると思う。

マッキンゼー式 最強の成長戦略

マッキンゼー式 最強の成長戦略
Patrick Viguerie (著), Sven Smit (著), Mehrdad Baghai (著), 斉藤裕一 (翻訳)
マッキンゼーが成長戦略についてまとめた本。グラニュラリティ(粒度)をこれまでよりも細かく捉える必要を訴え、その上で成長のために必要なアーキテクチャを提示している(ITが事業をグラニュラーに捉えてマネジメントするコストを下げた)。個人的にこの本を見て最も惹かれたのは、位置づけが”The Alchemy of Growth”を補完するものだというところだ。こちら本(The ~)は2001年くらいに出されたもので、彼らが成長についての研究をまとめた最初の書籍となる(これに関しては現在取り寄せ中)。3 Horizon等のコンセプトもこの中で語られている。
上記から、個人的に偏った点に注目して読んでいる可能性はあるが、それでも分析の手法・打ち出すフレームワーク(成長パフォーマンスマトリクス、成長マップ、成長のアーキテクチャetc…)、そしてそれを基にした企業の診断例、グラニュラーなマネジメントの方向性(クラスターに分けたマネジメント)は有用だと思う。
いくつか印象に残っている言葉を以下に抜粋する。

P.59
成長の方向性を定めるためには、目的地への全体的視野を維持しながら、同時にグラニュラリティーの各レベルを自由に移動する柔軟性が求められるのである。(中略)必要なのはグラニュラーな具体的戦略をG4とG5レベルで行動に移すことなのである。

P.125
成長戦略は決定論的問題ではない。それは、可能な限り戦略的柔軟性を保ちつつ、企業としての能力構築につながるものである。とりわけ階段式アプローチは、成長事業の確立という拾いながらも明確な意図の範囲内で、構成化された実験を可能にする。

P.126
問うべきは、「新たな市場に進出するべきか」ではなく、「選択する市場で発揮できる際立った洞察と能力があるか」である。

P.180
ホライゾン3は、新規事業よりもさらに先に目を向け、将来的な成長のための胎動期のオプションに焦点を置く。(中略)ホライゾン3での取り組みは、ホライゾン2の事業の構築に対してコミットメントを行うこと—自社が選択した範囲内で、今後数年間にわたり学びと階段を上っていくことによって—なのである。

P.186
「リーダーが自分の目指す先を知らないのなら、どんな道でも進めさえすればいいということになる。もしどんな道でもいいのであれば、CEOはアタッシュケースを持って釣りに出かけていくかもしれない。どこに進んでいるのかを知らない組織、あるいはそれに無関心な組織は、わざわざお飾りの人形を立てて、その事実を宣伝するまでもない。遠からず誰もがそれに気づくのだから」

P.217
成長の方向性を組織に伝える最善の方法は、それが仕事でどんな意味を持つのかを具体的に説明することである。(中略)つまり成長の方向性は、組織末端までの全レベルにおいて行動に移せる具体的戦略としてまとめ上げなければならない。

P.286

  • 会社をグラニュラーな成長のクラスターにセグメント化する
  • それらのクラスターの戦略を明確に打ち出す
  • 漸進的KPIを通じてパフォーマンス・マネジメントをクラスターに組み入れる
  • クラスターのレベルでポートフォリオを積極的にマネジメントする

理性の限界

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性
高橋 昌一郎 (著)
息抜きのつもりで読んでいたのだけどつい入り込んでしまった。
次の問いかけに、選択・科学・知識の3つの限界からアプローチする。

P.8
私たち人間は、何を、どこまで、どのようにして知ることができるのでしょうか?いつか将来、あらゆる問題を理性的に解決できる日が来るのでしょうか?あるいは、人間の理性には、永遠に超えられない限界があるのでしょうか?

全体にパネルディスカッション形式で各分野の識者が話し合うように描かれているので、面白く読み易い。
表現したい主張があってそれに必要な識者を登場させているのだと思うけど、いったい何人出てくるんだ?っていう位多彩な人々が登場する。しかもそれぞれの立場が明確にされている。これだけのキャラクターをデザインして登場させられる筆者の幅広い知識と表現力は尊敬に値する。各理論にわかりやすい(できるだけ身近に感じられる)事例が示されているのも良い。
選択の限界で、特にゲーム理論について論じられているところは、比較的自分の仕事に近いこともあって興味を惹いた。
科学の限界は個人的に全て面白かった。ニュートン力学と相対性理論、相対性理論と量子論、不確定性原理。実在定期解釈と相補的解釈。”パラダイム”の定義。

P.168
「パラダイム」を「一定期間、科学者集団に対して、問題と解答のモデルを与える一般的に認知された科学的業績」と定義しています

これはトマス・クーンが1962年に『科学革命の構造』で記述したもの。この本は前から興味があって既に購入済み。読むのが楽しみだ。
知識の限界は、ロジックをどのように数式に置き換えていくか、シンプルな公理のもとにおくか、というのが読んでいて面白かった。途中あまり興味を惹かない内容もあったが。

定量分析

定量分析実践講座―ケースで学ぶ意思決定の手法
福澤 英弘 (著)
定量分析の手法について少し振り返りたかったので開いた一冊。全体にとても易しく説明が書いてある。また単語や分析手法については巻末に用語集としてまとめられているので、初めて定量分析に触れるという人は入りやすいと思う。