ラッシュライフ

ラッシュライフ
伊坂 幸太郎 (著)
今回はこれまでに読んだ著作と違いペースが少し速いように感じた。他の作品でもシーンが流れるスピードが速かったり、その振幅が大きかったりはするのだけど、音が少ないというか色が淡いというかでどこかゆったりとした印象が多かった。しかしこの本の中では人物であったり交錯する各人の物語におけるシーンの色が時折とてもビビッドに自分の内側に描かれるように感じた。
そんなスピード感というかダイナミックさを感じさせる中で密に関係していくそれぞれの物語は読んでいて鮮やかささえ感じさせる。
メインキャラクターの多さがそう感じさせるのかもしれない。死神の精度やオーデュボンの祈りでは主役はだいたい1人に定められていたがラッシュライフの中では明確に誰が主役とは言えない。それぞれが主役であり絡み合う物語の中でメインをはっている。だからそれぞれの物語がビビッドに感じられるのかなと。シーンがダイナミックなのは物語の内容上の話かもしれない。
死神の精度は短編集(それぞれの結びつきはたまにあるが)なので違うが、オーデュボンの祈り、そしてこのラッシュライフでは話がかわるところで次の話の主人公?だったりシーンだったりがアイコンで示されているので話が追いかけやすい。

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