使える弁証法

使える 弁証法
今日読み終えた。内容については大きい気付きが1つあった。
それは、矛盾が変化の原動力になるということ。矛盾を受容れない、すなわち「割り切る」ことは魂の弱さであるということ。
本の中で例示されていた「短期的利益の追求」と「長期的利益の追求」の矛盾や、「利益の追求」と「社会貢献の追求」の矛盾については、今の時代だからかもしれないが自分としては矛盾に感じられない。それは既にこれらが矛盾した存在ではなく、互いに密に関連しあう(内包しあったというのだろうか)関係に発展しているからだと思う。
長期的利益と短期的利益の問題については、いつの時点でどれだけのキャッシュが必要になるか、というところで優先順位をつけて選択していくのだろうし、利益と社会貢献についても、社会貢献を軽視する企業が今の世の中で利益を上げ続けることは困難だろう。勿論、短期的に利益を上げる手段が、自社の理念やビジョンに反する手段しかありえない、という場合には、その矛盾に対して葛藤を抱くことになると思うが。
安易な解釈、強引な解釈になるかもしれないが、矛盾を受容れない、「割り切り」は魂の弱さである、というのは、ロジックの整合性が取れていないと決断できない/行動に移せない、ということであったり、自分の中で100%agreeと言えない限り、いや、100%agreeということを事実を積み上げて自分に証明できない限りagreeできない/選択できないということであったりを指しているのではないかと思うのだ。
その結果の行動としては2つのパターンがあると考える。
1. 矛盾してるから動かない
2. 矛盾してるから割り切って無理やり動く
1の場合は主体的な変化は無い、もしくは起こりにくい。
なぜなら矛盾を受容れた上で動かないという決断をしているのならその後の変化も感じることができるし、その上で自身も動き出せるかもしれない。しかし矛盾に葛藤しながらその場にじっとしているというのは、体は動かない上、外界の変化を感じるアンテナも感度が下がっていると考えられるからだ。
だから主体的な変化は無い、もしくは起こりにくい。加えて外界の変化を感じることで、矛盾を受容れる、もしくは結果として矛盾で無くするような変化を自身に生じさせることは難しい。
2の場合は主体的な変化は一時的にあるが、本で言う”螺旋的な発展”は望めない可能性が高い。
なぜなら矛盾を割り切ることを選択しているため、”割り切った”上での直線的な行動を取る可能性が高いし、自分に割り切らせることに囚われて、外界の変化にあわせる、曲線的な行動を取ることができない可能性が高いからだ。
矛盾を割り切らずに受容れて、その上で活動を続けることで、その矛盾の中を行ったり来たりしながら活動を続けることで、その矛盾を統べる変化を生じさせることができる。
…と長々と書いてきたけど、ただの本の解釈で終わりそうなのでこの辺で自分の言葉を使う。
要するに、
1. 自分の中で”これだけは譲れない”という自分の存在意義をちゃんと掴む
2. 後はバランス感覚
若干乱暴な気もするけどこれだけの気がする。
悩みっぱなしでじーっと動かないのも×
それを恐れて無理やり割り切って融通が利かず直線的に突っ走るのも×
100%白とも黒ともいえないけど、それでも動いてみる。矛盾したり、間違ったりしてるかもしれないけど、世の中100%正しい人なんていないわけで、そんな完璧主義は捨てて動いてみる。
違うと思ったり、これ以上いったら危なそうだな、って感じたら違う方向に動いてみる。
悩むことと足を止めることは必ずしも直接関係しているわけではないし、一歩目を間違えたらその後も間違えないといけないこともない。
自分として手放してはいけない最低限のものだけを握り締めて、バランスを取りながら動き続ける。
そんなある種当たり前のことを継続してやることが、結果としての継続的な成長に繋がるのではないかと思うのだ。
バランスを取りながら歩き回るんだから直線的な成長なんてできない。でもちょっとずつでも変わっていく。振り返ってみると螺旋と呼べるのか何なのか分からないが曲がりくねった、傾きも一様でない下り坂が広がっている。
そんなものではないだろうか。

コンサルティングに例えると、
事実が不足してるからって前に進まないで考え込むのは×
仮説を無理やり立てて、それを結論だと無理やり思い込んで、事実を無視してしがみつくのも×
手元にある事実だけで何らかの仮説を立てて検証する(進む)
それが正しかったらその方向でより深く掘っていけばいい。誤っていたらそれも糧にして次の仮説を立てる。そして検証する。軌道修正を繰り返して(バランスを取りながら)進む。
手放してはいけないのはProjectの目的でありその先にあるClientの目的。
こんなところだろうか。

「使える弁証法」への2件のフィードバック

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    この本僕も読みました。(て言ったよね)
    なんか頭がすっきりしてよかったです 

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    確かmixiに書かれていましたよね(^^)見覚えがあります。
    この本の中で書かれている内容に基づいた著者の考える今後について触れられているともっと面白くなるかな、と思いました。

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