2014を振り返る -にわかには信じられない程大きい変化のあった年だった

早いものですっかり年の瀬。今年を振り返りたい。仕事はまだ納めていないのだがまとまった時間が確保できるタイミングも限られているので。

にわかに信じがたい変化を遂げた1年だ。

5月までバルセロナで生活し、ゆっくり2週間かけて日本に戻ってきたことが遠い昔に感じられる。仕事も新しくなった。生活面での変化も大きい。2012、IESEへ留学した年よりも大きい変化であり、人生でなかなか経験できないものだと思う。

5月までバルセロナで生活し、ゆっくり2週間かけて日本に戻ってきた

ここの振り返りはIESE卒業時のエントリー、帰国後MBAで得たものを整理したエントリー、最後の旅行の写真をまとめたエントリーに譲る。

OFFICIALLY GRADUATED FROM IESE BUSINESS SCHOOL / 改めまして、IESE BUSINESS SCHOOLを卒業致しました

道具と覚悟と勘違いと -IESE MBAを通じて得られた7つのもの

少し旅をして無事日本へ戻ってきて一息。写真のことを考えた

その後半年を過ぎて感じることは、IESEでの日々であり、そこで得られた仲間がどれだけ尊いものであるか、ということだ。そして、IESEに閉じずMBAに向けて同じ苦労を経験し、MBAを通じてそれぞれの学びを得て、卒業後それぞれのチャレンジに邁進するMBA同期というのもとても大切だ。

直接的にしろ間接的にしろ、そのコミュニティでありその中の個々人との会話や、彼/彼女の姿に支えられていた点、多々ある。

心から感謝であるし、こうしたつながりを疎かにせず、今後も大切に、一層良いものにしていきたい。

そしてまたバルセロナ、欧州に行きたい。

仕事も新しくなった

半年近くもがいてきて辿り着こうとしている点は、”自身の信念に従って、目一杯はたらけ”というところだ。書いていて恥ずかしい程プリミティブなのだが。

後から気づいたのだが初の経験なのだ。単身で既存の小規模集団に飛び込むというのが。表に出す出さないあるが、試行錯誤の日々であり、久しぶりに”悩んだ”日々だった。

書き出すと長くなるので割愛するが、この経験(まだ終わっていないが)からの学びは大きい。

ただ、”ああ、そういうことなんだな”と感じ始めているのが上に書いたものだ。結局自分の信念をまず立て、それに従って目一杯はたらく。という、ある意味当たり前のことを愚直にやるということに尽きるのだろうなと。

既存の(暗黙の)ルールであったり、人間関係であったり、仕事のスタイルであったり、混沌としたプロジェクトの状況であったり、境界線の曖昧なタスクであったり。そうしたものの中に身を置きながら、自分が納得の行くパフォーマンスをだすためにどうするべきか考えて動いてと繰り返してきた。

そのために周りを理解する(読む)ことに努めていた時期もあったのだけど、表面だけを見ていたら場当たり的、状況も変わるし求められるものも変わる。

結局、まず第一にやるべきは、周りを読むことではなく、自分が何をどうすべきと考えているのか、それを明確に立てることだ。

周りを理解するところから入ると、容易に自分の軸を失う。自分の軸を失っては環境の変化に流されるままだ。そうして漂っているうちは限定的な価値しかだせない。

既存の集団・プロジェクト、何であれ形成されているものは多い。それはそれとして、理解する・受け容れようとする前に、そこへ自分をぶつけること。そのために自分を明確にすること。まずはそこから。

後は、それを価値につなげるまで目一杯はたらくことだ。

どれだけ素晴らしいアイデアを抱えていてもそれ自体は無価値だ。実行し、出せた結果こそが、そのアイデアの価値だ。

なんだかまわり道をして元の場所へ戻ってきたような感覚もなきにしもあらずだが、螺旋的に成長していると信じたいところ。

生活面での変化も大きい

色々な見方がある。ここはまたの機会に整理したい。

成長する仕事 / しない仕事

最近仕事の中で人の成長について考えることが多い。殊更経験の浅い、若い人間であればその成長余地は大きい。そういった類の方と仕事を共にするのであれば彼彼女の成長カーブを最大化するよう務めたい。

なので仕事の分担の仕方についても考える。そんな中で感じたことを簡単にまとめておきたい。

成長する仕事は、①意思決定ポイントが多く、②クライアントと議論を含む。成長しない仕事はその逆で、意思決定ポイントがなく、クライアントとの議論を含まない。

意思決定のポイントがないということは、全てが決められているということだ。考えずとも与えられたプロセスの通りに手足を動かせばアウトプットがでてくる類のものだ。不明な点、不確実な点があっても質問すれば答えもしくは具体的な方針とそちらへ向かう手順が示されるような仕事だ。

クライアントとの議論を含まないということは、資料が最終アウトプットになるということだ。現実には資料は、もしくは資料化されていなくても練られた主張は、議論のインプットに過ぎない。その議論を通じてより良い内容、相手に馴染む内容となり、合意を形成して組織を動かす拠り所になる。その議論を闘わせる所を含まないような仕事だ。

プロジェクトの難しい局面になる程、成長する仕事を任せることも難しくなる。成長と効率のトレードオフがあるのだけど、上手くやっていきたいと思う次第。

遅刻した部下に何を思うか

自分の若かりし頃を思い出す。

プロジェクトの山場では2-3時間睡眠の日が続いたり、時には一睡もせずにシャワーを浴びに家に帰ってすぐまた仕事場へ戻る、そんな生活を送ることもある。

初めてマネージャを務めたプロジェクトでまさにそういう山場があった。若い仲間と一日16時間近くを共にする日々が続いていた。そうして迎えたクライアントとのミーティング当日。

オフィスで朝日を見てから家に帰り、30分程度仮眠をとってから直行する予定でいた。

清々しく目覚め時計を見ると既にミーティングが始まる時間だった。何が起こったのかわからず、顔を洗いスーツに着替えて鞄を手に家を飛び出した。

既に始まっておりパートナーにもメンバーにも電話はつながらない。記憶が定かではないが確か道中でメールを送った。

結果、30分程遅れてミーティングに参加しバトンを自分に渡してもらいその後つつがなく終えた。

ミーティング後、改めてパートナーとメンバーへ頭を下げた。頭を下げるあとはその後のパフォーマンスで、結果で詫びるしかないと思っていた。とは言え、自分の責任を部分的にでも全うできなかったこと、何よりクライアントからのチームでありファームでありへの信頼を損ねた可能性があることは事実だ。

パートナーが最初に口にしたのは自分が想像していなかった一言だった。

”無事で本当によかった”

と。そして本当に心配したと。何を言われても致し方ないし、言葉なく呆れられても致し方ない。そう思っていたところへの一言だった。

涙こそ出なかったが、再度、頭を下げた。

この経験は、自分が仲間をリード・育成する立場に立つときの価値観の一角をつくっているし、大切なことだと思っている。

まずは心身ともに元気でいること。全てはそこからだ。

倒れかけの体、とまりかけている頭、折れかけている心。その状態で何かを投げかけてもそれは響きようがない。相手を痛めるだけだろう。それがどれだけ正しい、価値のある内容だったとしても。

勝負は既についている -人が立ち返る場所

不測の事態に見舞われ混沌とした状態に陥った時に企業運営の成否を分かつのは、そうなる前に何をしてきたか、何を価値観として行動規範として自分たちの心に刻んできたかである、という話。

以前所属していた組織ではプロトコルが明示的にも暗黙的にもあったように思う。それがあるからコミュンケーションのロスが少なく効率的に物事を進められた。

それを持たない経験はMBAでのチームワークが大きい。こちらにまとめている(プロトコルという言葉を使っていないが)。

2nd TermのクラスとMBAとコンサルティングのチームワークの違い3つ

英語だったということもあったが慣れるまでむつかしかった。プロトコルがあるという中に、それを具体的にどういうシーンでどう使うのか、共にしてきた経験があるということも含んでいるのだと思う。

ただ、物事を進めるのをむつかしくするインパクトは、プロトコルの有無は小さく、それよりに大きいのが価値観が共有されているか、という点にあると感じている。例えば上記のリンク先で言えば、何を最も重要視するか、優先順位の置き方は価値観の1つに当たるだろう。

 

多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルが運営する、プロトコルを持たない組織が不測の事態に見舞われ、情報の連携がとれず事実関係が不確かな中で行動することが求められた。

結果として、後から振り返れば組織としてうまくまとまった行動がとられていた。当時を振り返る会話の中で共通してでてきたのが、意思決定をするとき、それに従い行動している時、振り返ったのは自分の行動が共有している価値観にそぐうものであったか否かであったということだった。

共通の価値観というものは、ある時決めたらその日から根づくようなものではない。文字に起こして配ればそれがそのまま価値観なるものでもない。仲間の日々の言動と一致してはじめて組織の価値観となる。

なので、勝負は不測の事態を迎える前にすでについていたのだと。

 

自分であり自分たちでありの日々の言動がどのような価値観に根ざすものなのか、そしてそれがふさわしいものなのか。そこに齟齬なく生きていきたい。

じっくり、呼吸の仕方を確かめるように

今月から新しい仕事を始めて初めての週末。これまでにない幅広いインプットを蓄積してきた2年間を明けての仕事は、現役時代と比べればまだまだと感じる。頭の回転の速さ然り、手を動かす速さ然り。

今のうちに、じっくりと、呼吸の仕方を確かめるように仕事をする。

ものごとの時間軸とその時々の優先順位を見誤ることなく、
ロジックに甘え将来へ想像力を働かせることを怠ることなく、
新しい現実を自分の過去の経験で頭ごなしに否定することなく、

しなやかに取り組んでいきたいと思う次第。