[書評] 君に友だちはいらない The Best Team Approach to Change the World

留学中に出版され気になっていた1冊。

タイトルも内容もとても良い1冊だ。君に友だちはいらないというタイトルは目をひく。そしてその内容はタイトルを釣りで終わらせない力強いメッセージとそれを支えるファクトで溢れている。

概要は以下。


大きなパラダイム・シフトは世代交代が引き起こす。そのきっかけは若い世代にある。なので第一に、(若者には)そういう世界を大きく変えるようなでかい目標を掲げ、自分の人生を歩んで欲しい。

一方でそれほど大きい目標を1人で達成するのは不可能だ。そこには仲間が必要だ。

ここで言う仲間とは、夢を語り合うだけの友だち、SNSでつながっていいね!といいあうだけのような友だちのことではない。共通の目的の達成のために集う(そして達成した後には当たり前のように解散しそれぞれの道をさらに進む)仲間だ。

そのためには大前提としてでかい目標を掲げそれに身を投じ、それに加えて自分のタグを明らかにして、ストーリーを語ることだ。弱いつながり(ウィークタイズ)を持ち、活用することだ。


僕が最も印象に残ったのは、仲間は見つけるものではなく創るものだ。そのために最も大切なことは、自分自身が成し遂げたい大きい変化の実現に身を投じることだ、という点だ。

自分の目標でありビジョンでありを実現したいと考えるとそれを具体化し、必要なものごとを考える。

そうすると自ずとそれと現実のGAPも明らかになる。それ埋めるためのアクションを重ねる中でうまくいくこともあればいかないこともある。

特に人関係。自分でありものでありは自分の思うように動かしやすいが他人はそうはいかないからだ。それによって思いもよらぬ回り道をすることもあれば、目標の達成事態が遠のいてしまうように感じることもある。

そんなとき、周りを責める、愚痴を言う、自分の置かれている環境を嘆く、といったことはあると思うがそれらはまったく意味がないことだ。

なぜか。

目標達成に対して一切の貢献をしないからだ。目標達成を目指すのにそれに貢献しない行動に自分の時間を割くのは無意味、もしくはその時間を無駄にするという意味でネガティブな価値を持つ。

そこで立ち止まらず、あくまで目標でありビジョンの実現から目をそらさず動き続ける。自分のビジョンとストーリーを語り、自分のもつ(弱い)つながりへも身を寄せ、頼らせてもらう。

自分が本気で、プロフェッショナルとして目標の達成を目指していると周りに映り、その目標が目指すに値するものだと感じる人が現れれっば、自ずと仲間になる。それは筆者がいらないという友だちではなく、必要不可欠な仲間だ。

なので、自分の思い通りに行かない時、置かれた環境がネックとなって目標達成が遠のいてしまうと感じた時に、その環境を責めてしまう、足を止めてしまうようなときは、それを正すと同時に、本当にその目標が自分が人生をかけて成し遂げたいものなのかを振り返ったほうが良いのだろう。

そして、そもそも自分のビジョンの実現に向かってまだ一歩を踏み出していない人は今すぐにそれを始めたほうが良いのだろう。その旅は1人で終えられる程簡単なものではなく、必要な仲間はその旅のゴールと、必死でやり遂げようとしている姿を見て集まってくるのだから。

そして、人生はそうした旅を何度も何度も楽しめるほど長くはないのだから。

 

いくつか印象に残った部分を以下に引用する。

P.31 大きな世の中のパラダイム・シフトというのは、「世代交代が引き起こす」

P.80 人間は合理的に動いていない組織に長期間属していると、物事をロジカルに考える能力が確実に低下していく。そういう組織に順応すればするほど頭が悪くなり、組織に順応することが出来なければ精神を病むことになる。順応しきってしまった人は自覚症状を持つことが出来ないまま、言い訳能力と、自己欺瞞力だけが向上していく

P.101 「よいチーム」はたいていの場合、

  1. 少人数である
  2. メンバーが互いに補完的なスキルを有する
  3. 共通の目的とその達成に責任を持つ
  4. 問題解決のためのアプローチの方法を共有している
  5. メンバーの相互責任がある

という5つの共通点を持つ

P.110 “良き友”が欲しければ、探すのではなく創ればいい。これと思う相手を決めて、一緒に本気で働いてみたらいい。本当の自分を探して雑誌や教材の山に埋もれる前に、本当の友達を探して忙しくパーティを駆け回る前に、とりあえず今いる場所で、今の仲間と一緒に良いチームを創って、目の前の仕事に一生懸命に打ち込んでみたらどうだろう。もしかするとそれが本当の「自分」を見つけるいちばんの近道なのかもしれない。

(上記は『「王様のレストラン」の経営学入門 -人が成長する組織のつくりかた』(川村尚也著)より滝川氏が引用ている)

P.122 つながっている人が自分を規定する

P.181 安易な目標はチームメンバーの心を捉えない。また中途半端な人格者のところには、人は集まらない。外部の人間からの注目も集まらないだろう。
むしろ人は「でかすぎるビジョン」を掲げる、「穴だらけの人物」に注目する。

P.223 不確実な状況のなかでは、自分でいかに必要な仕事を見つけるかが大切となる。(中略)プロの世界で食っていくためには、自分のポジションを必死で見つけなければならないのは当然のことだ。

P.322 夢を語り合うだけの「友だち」は、あなたにはいらない。
あなたに今必要なのは、ともに試練を乗り越え、ひとつの目的に向かって突き進んでいく「仲間」だ。

(中略)

友だちも仲間も他人から「配られる」ものではなく、自分自身の生き方を追求することで、自然にできあがっていくのだ。

だから究極的に必要なのは、他人から与えられたフィクションを楽しむだけの人生を歩むのではなく、自分自身が主人公となって世の中を動かしていく「脚本」を描くことなのだ。

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