MBAで得られたスキルは何か

キャンパスビジットやバルセロナでのアセスメントデイのために日本からアプリカントの方々が数名来られているこの週末。お話させていただく機会があり考えたのがタイトルにある内容。

MBAで得られたスキルは何か

ということだった。話の中でこの質問を受け、はたと考えた。どのようなスキルが得られたのだろうかと。簡単にこれとこれとこれの3つのスキルが身につきました、というような話はできなかった。

なぜか考えた。理由は2つある。

まず最初に、おおよそMBAは何かしら特定のスキルを身につけようとする場ではないということだ。

経営する上で想定される意思決定の精度を幾分でも高める、それを組織として実行し想定する以上の結果を出す確度を高める場だ。

そのために必要なスキルは関係する領域であり率いるチームの属性であり、組織の中での自分の立ち位置でありによって多くのパターンに分岐するだろう。

その個別のスキルを個別にどうこうする場ではないのだ。上記の通り、現実の経営において結果を出すための鍛錬の場なのだ。

財務諸表が読めるとか分析ができるとか、ファイナンシングのスキームが組めるだとか、マーケティングのフレームワークが使えるだとか、組織設計の考え方がわかって使えるだとか、そのレベルの話はMBAに来なくても学べる。本を読み自分の会社でも新聞取り上げられている企業でもを対象にして使う練習をすれば十分ではないだろうか。

特定のスキルを伸ばすという目的で行動することはない。強いて言えば経営における意思決定のスキルとその決定に基づいて結果を出すスキルだと表現できるが、具体的に何か、と考えてみるとどうも説明がつかない。

次に、上記のスキルを得られたというにはそれをサポートする事実が不足しているということだ。

なぜか。それは、スキルを身につけたと主張するためにはそのスキルを使って結果を出したという事実が必要だ。しかし、その事実はMBAの中では積み上がらないからだ。

数百のケーススタディをしてきた。数々のプロジェクトを経験してきた。コンペティションで結果を出した。インターンシップで何をしてきた。クラブ活動で何をしてきた。

どういったところでそれは実際の業務ではない(インターンは程度による)。ましてや実際に企業体を経営し結果を出したわけではない。

1つ目の話の最後に書いた2つのスキルを身につけた、と主張する根拠を持っていないのだ。もしかしたら勘違いなのかもしれない、だがしかしできる気がしている、何かしらの自信がある、という程度だろう。

その、スキルをサポートしない経験や、勘違いや自信を、幾つかの企業は信じてMBAに対してFast Trackを用意し、幾人かの学生自身は信じて起業でありの道を進むのだと思う。

 

という2つの理由からMBAで得られたスキルは何か?という問いに対して上手くこたえられなかったのだと考える。

 

MBAで得られたものは卒業のタイミングでまとめたいと思っているが、おそらく何か特定のスキルといった類のものが占める割合は極めて少ないだろう。

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