半沢直樹シリーズ3冊を読んだ

前々から気になっていた半沢直樹シリーズの原作を読んだ。ドラマ化された2冊を含む全3冊。ちなみに現在週刊ダイヤモンドでは第4部となる『銀翼のイカロス』が連載されている模様。

わかっていても目を見張るのは、手に汗を握るのは半沢直樹が組織の文化でありその文化に染まった周りの人間に屈することなく事実を明らかにし責任の所在を明らかにしそれを負うべき人間に負わせる点であり、組織の論理ではなく市場の論理、クライアントの論理に従って彼らをあるべき道へ導くという点だ。

改めて組織の都合や周りの雰囲気ではなく、自身の信念に従い、事実と向き合って仕事をすることの大切さと難しさを感じた。前提は、自身の信念が自分の保身等ではなくクライアントであり世の中を第一義に考えているということだ。

簡単な話ではない。ではそのクライアントであり世の中のために動くために今いるポジションもしくは更に上のポジションに居る必要があり、リソースが限られていたとする。周りにそのポジションを狙っている人間がそのポジションを獲るために多くのリソースを割いていたとしたら、必然的に今そのポジションにいる人間も多くのリソースを割く必要性は高くなるだろう。結果、そのポジションにいながらクライアントであり世の中のために割けるリソースは限定的なものとなる。不本意であったとしても、そうしなくてはクライアントや世の中のために動くために必要となるポジション自体を失ってしまうからだ。

このシリーズ(特にドラマ、というかドラマ)は登場人物の多くが保身であり出世のための社内政治に腐心する人間であり、彼らの不正を半沢直樹が暴き、責任を取らせ、その被害を受けていた人々を助けるという構図であった。おそらく自分も含め視聴者が直面している現実はそんな単純な話ではないだろう。

上っ面の正義を振りかざすことに満たされ、物事の裏側であり本質を見る努力を怠るというのは違うなとも思った次第。

3冊を通じて印象に残った部分を一部以下に抜粋する。

 「夢を見続けるってのは、実は途轍もなく難しいことなんだよ。その難しさを知っている者だけが、夢を見続けることができる。そういうことなんじゃないのか」

「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組織も腐っていく。組織が腐れば、世の中も腐る。わかるか?」

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