”挑戦と成功の間をつなぐ架け橋は、努力しかない。” [書評]ゼロ―なにもない自分に小さなイチを足していく

発売されて2ヶ月近く経つ。その当初から気になっていたのだがようやく手にした。kindleだと海外にいても容易に日本の書籍にアクセスできる。

静かで丁寧な、厚みのある一冊だった。

堀江氏の著作は過去に何冊か読んでいるがどの本もどこかに”現状への憤り”を感じるものだったと記憶している。その多くが合理的でない仕組みであり人でありに向けられていたように感じる。それに対する堀江氏の行動は容易に彼の本意ではない解釈を招いた。この本の内容に照らすに、当人は限られた時間・人生の中で成し遂げたいチャレンジが無数にあり、それを全てやるためには合理的に物事を考えて進める必要がある(そうすれば当たり前のようにできるはずなのにそれができていないことに憤りを感じていたのかもしれない)、だから丁寧に人に自分の意思でありその背景にある”自分”を説明すること、理解してもらえるように努めることも省き、成すべきことに集中してきた。結果は多くの人の知るところだ。

しかしこの本にはそういった憤りが一切感じられない。そういった感情を挟まず、自分は小さいときどういうどういう親のもとに生まれ、どのように育った、どんなことがあった、だからバイトをして、勉強をして、東京大学にはいって、結果会社を興して、等々現在に至るまでが丁寧に説明されている。

この本メッセージもシンプルだ。サブタイトルにほとんどが集約されているし、後は”はたらこう。”という一言に尽きるのだろう。

これだけの結果を出してきた堀江氏が、これだけ自身をさらけ出し、丁寧に優しく背中を押すと、その力は多くの人に伝わるのではないかと思う。

失敗して失うものなんて、たかが知れている。なによりも危険なのは、失うことを怖れるあまり、一歩も前に踏み出せなくなることだ。

経験とは、時間が与えてくれるものではない。だらだらと無駄な時間を過ごしたところで、なんの経験も得られない。なにかを待つのではなく、自らが小さな勇気を振り絞り、自らの意思で一歩前に踏み出すこと。経験とは、経過した時間ではなく、自らが足を踏み出した歩数によってカウントされていくのである。

人は「ここでいいや」と満足してしまった瞬間、思考停止に突入してしまうのだ。

「悩む」とは、物事を複雑にしていく行為だ。(中略)「考える」とは、物事をシンプルにしていく行為である。

挑戦と成功の間をつなぐ架け橋は、努力しかない。

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ゼロ―なにもない自分に小さなイチを足していく
堀江 貴文 (著)