西の魔女が死んだ


西の魔女が死んだ
梨木 香歩(著)
アポイントの間に時間があったので手にした一冊。
魔女になるための訓練を通じて語られる言葉は力があり改めて自身を振り返る。魔女の生活、家や庭の様子の描写は美しく鮮明に自分の内側にイメージが湧く。その言葉を、ときににわかには受け容れられずとも、咀嚼し成長する主人公の姿、死に対する考え方の変化とその理解を助ける経験を辿る過程で胸を打たれる。
魔女の主人公に対する接し方、会話の運び方から学べることも多い。
ストーリーはこの場でなぞらないが、幾つか考えさせられる言葉が目にとまったので一部抜粋する。

P.70
悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。その力が強くなれば、悪魔もそう簡単にはとりつきませんよ。まいは、そんな簡単なことっていいますけれど、そういう簡単なことが、まいにとってはいちばん難しいことではないかしら

P.138
魔女は自分の直感を大事にしなければなりません。でも、その直感に取りつかれてはなりません。そうなると、それはもう、激しい思い込み、妄想となって、その人自身を支配してしまうのです。直感は直感として、心のどこかにしまっておきなさい。そのうち、それが真実であるかどうか分かるときがくるでしょう。そして、そういう経験を幾度となくするうちに、本当の直感を受けたときの感じを体得するでしょう