媚びない人生

媚びない人生
ジョン・キム (著)
アツい一冊。この本に若くして出会える人は幸せだと思う。
メッセージの部分部分は他のいくつかの本にも散りばめられている。根本にある考え方は7つの習慣―成功には原則があった!に登場するresponse abilityに重なるとも考えられるし、影響力の範囲に関する部分もある。無知の知は言うまでもない。”自分の”人生を生きるというテーマは史上最強の人生戦略マニュアルに通じるものがある。
でも、この本にあって、上記のような書籍、理論であったりtipsとして整理された内容、にはないものがあると感じる。それは、著者の、読者であり自身のゼミの学生に対する愛だ。著者のこれまでの人生の全てに支えられた、魂の込められたアツいメッセージたちだ。
すでにいくらかの経験を通じて自分の中に”変わりたい”とか”どうなりたい”という火が多少なりともついている人なら理論書で動ける。でも、その火がまだ点っていない人は理論書を読んでも動けない。動く理由が自分の中にないからだ。
この本に込められた熱は心にそういう火を点す力がある。もし過去についた火が消えて心が湿っているなら、それを乾かしもう一度火を点す、背中を押してくれる力がある。
著者が何も包み隠さず、飾らず、臆することなく自分の考えを投げ続けるこの姿勢こそが、ここに書かれている文章そのものよりも力強く読み手を動かす。そんな一冊だと感じる。
印象に残った言葉を一部以下に抜粋する。

P.39
必要なことは、何より自身の成長を意識することだ。未熟から成長に向かうプロセスこそ、生きる意味だと気づくことである。

P.69
知ったふりをするのは、「他者への欺瞞」であると同時に、「自分自身への侮辱」である。

P.87
結果に対する全責任を負う決意に基づいた選択は、常に正しい。

P.112
自己主張をあまりにし過ぎると、人間に軽さが生まれてしまう。(中略)だからこそ、重要になってくるのが、自分は何を主張したいのか、という優先順位をしっかり考えておくことだ。

P.120
自分の思考に、最初から制限を持たせてはいけない。それは人生に制限を設けることと同じである。必要なのは、誰も見たことがない地図を創ろうとすることだ。

P.136
他者に対して、しっかりとした自分を持つことは大事だが、すべてにおいて譲れない硬直さをもった人間は、周りからは付き合いづらい人間に映る。

P.158
最終決定を他人のものにするな

P.201
自分が目指す目標や方向性が変わること、それ自体はまったく問題ない。むしろ変わるのが自然なのだ。(中略)人生の一貫性は他者の評価によって決まるものではない。自分でしかその判断はできない。不可侵領域だと認識することだ。

P.206
いつまで経っても学ぶだけの人は、それだけの存在で終わってしまう。(中略)与えることに喜びを感じる人になることだ。

P.226
最終的に人生における自由を手に入れるために必要なのは、強い自分なのである。それこそが唯一、自然体で、穏やかな状態で人生を過ごしていくことを可能にするのである。

P.227
人生の成功は他者ではなく、自分で決めるのだ。

P.229
皆が挑戦した後、後追い的に挑戦してもそれが持つ意味は薄い。そもそもそういうものを私は挑戦と言わない。世の中がなんと言おうと、自分が信じていること、正しいと思うことを実現するためにリスクを負って行動に移す、それこそが挑戦ではないか。

P.249
自分が自分の成長に対して、一番真摯にできることは、自分の未熟さ、あるいは自分にできていないことと向き合うことだ