「思考軸」をつくれ-あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由

「思考軸」をつくれ-あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由
出口治明 (著)
普段、特に仕事において、直感に頼っていると感じる部分が少ないので出だしから新鮮だった。「60歳での企業は、1時間で決めました。」という帯にあるエピソードで幕を開け、直感とは何か?その精度を上げるためにはどうすればよいのか?具体的にはどういうふうに?といった問に前半を割いて出口氏の考えが展開される。後半はリーダーシップ、真っ向勝負、自分たち(ライフネット生命)の今とこれからについて語られている。
一貫して平易で無駄なくシンプルなロジックで語られる出口氏の文章はとても力強く、優しく、そして厳しくもある。これだけ洗練した文章を書けるというだけでどれだけ自身の思考軸が磨かれているかを伺わせるし、引用される事象の幅広さが、どれだけの量と幅を持ったインプットをされてきたのかを思わせる。敬服する。
自身を省みると、自分の事に関しては思い込みと直感で判断してこれまでやってきている。だからか、これが人生の岐路だ、という感覚を持った記憶がない。やりたいことがあればまずやってみる、それでうまくいけばそのままだし、うまくいかなければその時次の手を考えてやってみる。その繰り返しだ。もしかしたら、その手を考えるときにオプションとして出して、リスクとリターンを評価して、とやっていれば岐路が現れるのかもしれない。実際にコンサルティングの中ではそういう経験はいくらでもあるのだし。
これは今の自分が背負っているものの軽さに起因しているのではないかと考える。
であれば、尚の事今のうちにチャレンジを重ね、背負うものが増えても折れること無く力強く行動し続けられる力をつけるべきだと思う。
チャレンジの前のインプットの量とプロセス(思考)の深さ、そしてチャレンジの結果を受け容れるその繰り返しが自分の思考軸をつくる唯一の行動であると思うし。
心に残ったコメントを幾つか抜粋する。

P.2
直感というのは、その計算のプロセスを自分でも意識できないほどのスピードで「脳をフル回転させて得たアウトプット」であり、言語化はできなくても、単に直情的に行動するのとはまったく違う性格のものなのです。そして、この直感は「ストックしてある知識や情報=インプット」の量が多ければ多いほどその精度があがります。

P.45
いちばんまずいのは、課題に対して優柔不断な態度をとることです。宙ぶらりんの時間は何も生み出しません。仮にでも結論を決めてしまえば、それがよかったのか悪かったのかを嫌でも考えるようになるので思考が深まります。また、一つ行動を起こせばそれにたいして反応が起きる、そうしたらまたそこでベストだと思う行動をとる、それを繰り返すことで状況はよい方向に動いていくのです。

P108-111
リーダーに必要な三つの要素
一つめは「やりたいことをもっている」こと
二つめは「旅の仲間を集められる」こと
そしてリーダーに必要な三つめの要素は「旅の目的地までチームをまとめ、引っ張っていく」こと

P.127
会社の生み出す商品・サービスには、そこで働く人の姿が如実に映し出されます。特に生命保険というかたちのないものをつくって販売する私たちにとって、商品とはスタッフの姿勢そのものです。人は楽しんでのびのびと働いているときがいちばんよいものを生み出せるし、効率もあがります。ノルマでしめつけたり馬にニンジンのようなインセンティブでやる気を引き出したりする方法は一時的には効果を発揮しても長続きはしません。

P.132
仕事でいちばん大切なことは、「最後までやり抜く」ことです。「確実に結果を出す」ことだと言い換えてもよいでしょう。そして、「そのためには何をすればいいのか」をとことん考えることがビジネスです。「要領よくやる」ことや「ラクをする」ことを重視し過ぎると、その方法を探すうちに貴重な時間を失ってしまったり、不十分な結果しか出せなかったりするのかもしれません。それでは本末転倒です。

P.166-167
戦闘中に兵士が捕虜になった時の対応にも差がありました。
日本兵にはそもそも「負けること」を想定した訓練がなされていません。だからこそ、とにかく玉砕してしまう。さらに、捕虜になった後も自殺する、もしくは敵に取り入って生き延びようとする、といった極端な行動に出ることが多かった。これに対して連合国の兵士には「負けること」を想定した訓練がなされていました。「まずは捕虜になって生き延び、口うるさく食事を要求し敵の食料を減らすこと」といった「負けた場合の行動」までが明確に指導されていたのです。

P.184
私にとってライフネット生命は「我が子」同様です。
「我が子にどんなふうに育ってほしいか」と聞かれて「五年後に幼稚園で一番になってほしい」と答える親がいるでしょうか?この世に生を受けた以上、まずは健康に、元気に、そして人から愛されて育ってほしい、そして平均寿命前後までは生きてほしい、そう願うのがふつうの親でしょう。その上で、私は「百年もの時間があるのだから、どうせなら世界一を目指すような大きな度量のある子に育ってほしい」と考えます。

P.196
「人は真っ当なことを、真っ当にやるべきです。それができないなら、できる世の中にすればいいんですよ」

「「思考軸」をつくれ-あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由」への1件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    自分の軸が分かっていればブレないですね。

    もとより人間も自然の一部ですから、調子よい時期、悪い時期があるわけです。
    それを生かして対策できれば、越したことないですね。
    ちょっと極端な知り方かも知れませんが、
    http://www.birthday-energy.co.jp
    の運命2013とは、人間も自然の一部という発想を
    取り入れているみたいです。
    10年、1年、1ヶ月、1日単位でどんな事が起きるか、
    自分の性格、今後の方向性をも確認することが
    出来るそうです。
    詳しくは、そっちのサイトで問い合わせてもらうとして。

    ちょっと違う視点で見ることが出来て、おもしろいですよ。

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