ディスカッションの質

今のチームは定期的に集まって勉強会をしている。テーマは色々あるのだけど、それぞれの講師がそれぞれの分野のプロフェッショナルだし集まる人間もコンサルタントで日々プロジェクトで格闘してる集団なのでとても面白い。
ディープな内容になってくると理解に少々の時間を要することもあるが基本的に全員が理解・レスポンスが早い。そして当たり前だけどそれぞれの意見にはそれぞれのロジックが通っていて前提に関する議論であり、その置き方に関する議論であり、勿論ロジックそのものの議論、ファクトの解釈の仕方の議論、そもそものケースに関する議論、というように盛り上がるポイントは無数にある。
そんな中で切れるのはやはりパートナーだったりするのだけど、彼がまた面白い。切れ味や自分の意見におけるケースの解釈の仕方、前提の置き方、ロジックの組み立て方、いずれもシンプルに鋭いところをついているのだけど、他人の意見に対するリアクションがしなやかなのだ。
ディスカッションのレベルを3つに分けると大体次の3つになる。
・相手の話が構造的に理解できないし、自分の意見を構造的に話せない
・相手の意見は構造的に理解できないけど、自分の意見は構造的に主張できる
・相手の意見を構造的に理解できるし、自分の意見を構造的に話せる
彼は3つ目。更にいえば相手が意図していない背景や構造も自分の中で組み立てて解釈し、相手の意見の良し悪しを逆に相手に教えてあげながら自分の考えをキチンと主張するのだ(基本的に自分に素直なので、あまりに意味が分からない場合は一蹴(たまに無視?さえ)するのだけども(苦笑))。
コンサルタント(特に若手-中堅)には2つ目で満足している人間が案外多いように見える。クライアント相手であれば3つめの段階にとどまろうと努めるのだけど仲間内でのディスカッションとなった途端に2つ目になるパターン。
表面上の相手のエラーをついて、あとは自分の主張一辺倒になるパターンだ。
コンサルタントである以上、構造的にものを考えられない・話せないというのは致命的なのだけど、勿論ロジックだけがコンサルタントとしての武器ではない、これは犬の躾みたいなものだ。中には躾はなってないけど嗅覚が優れているものもいればその他様々な長所をもっている人間もいる。また多くの場合組み立てるロジックの違いは、目的の置き方の違い、状況の解釈の違い、前提の置き方の違いに拠っている。
そんな中でロジックが通ってる/通ってないというレイヤーでディスカッションをするというのはあまりに勿体無い。ましてや相手のロジックが自分の中で通らないだけで耳をふさいでしまうというのは多様なチームである価値を毀損している。そもそもに立ち返ってディスカッションし、更に価値を付加する機会を放棄している。
パートナーのしなやかなさばき(根元にあるのは純粋な知的好奇心かな)をみて、自分も時折つい忘れてしまいがちな、相手の意見をしっかり理解する、自分から価値をみつけにいく姿勢の大切さを改めて思い出した。その姿勢がディスカッションの質を高めるし、なによりチームの力を高めるのではないかと思う。