生命保険のカラクリ

生命保険のカラクリ
岩瀬 大輔 (著)
気がつけば発刊からはや1ヶ月が過ぎようとしている。今日ようやく読むことができた。読み終えて一番自分の中で印象に残っているのは序章の内容だ。大きく2つの内容。1つは岩瀬さんと社長の出口さんが初めて死亡保険金を支払いに、遺族の方々のもとへ出向き、霊前に手を合わせるシーン。1つはこの本の位置づけを説明している内容、プロが書いたプロ向けの本でもない、プロが書いた一般人向けの本でもない、この業界に一歩足を踏み入れた一般人が書いた一般人向けの本だというもの。
1つめは情緒的にとても強く印象を受ける。その一連のシーンの中に登場する各人物が何を何を思ってそのシーンに入り、その切り取られたシーンの後に何を抱き動くのか。コンサルティングや投資銀行では人の死であり、その遺族の今後について想いを馳せるという経験はプライベートを除いてほぼないと思う、一方で生命保険を扱う立場にいれば、それは少なくとも自分達が保険料を支払う回数分だけ存在する。実際に経験する・身をもって感じるところに自分を置くかどうかはさておき。
文中で、”GNPでマイホームを選ぶ人はいない。ならば(人生でマイホームについで2番目に高い買い物である)生命保険も知り合いだとか、いい人だという理由で選ぶべきではない”というくだりがある。確かにそのとおりだ。でももし商品に違いがなかったとしたら(違いを認知できなかったとしたら)、やはり上記にあるような、お客様個々にどこまでキチンと向き合いきることができるか、それができる会社であり続けるかというのは大きな違いになってくるのだと思う。
シンプルでわかりやすいホケンという今の業界における商品面での強い差別化要因にとどまらず、上記にあるような情緒的な側面においても、今後企業体が大きくなっても変わらずに持ち続けていたらどれほど素晴らしいだろうと思う。
2つめは一般人による一般人のための本。そう、カンタンではない。セイホの素人からしてみたらこの本でさえカンタンではないと思うのだけど、それでもとてもわかりやすく書かれていると思う。本人が情報に触れ、理解し、整理したそのエッセンスを整理する過程も含めて書かれているからかなと思う。過去に外資セイホの営業マンの方の話を聞いたことは何度かあるのだけど、それとは違うわかりやすさなのだ。何が違うかというと、
営業マンは、具体的なイメージに訴えかけられることによって想像しやすい。感覚的にわかりやすい。
この本は、明快なロジックで、構造の問題も踏まえて訴えかけられるため、そもそもセイホが何かということを理解しやすい。
のだ。前者が魚の味や料理の味をイメージで理解させてくれるのに比べて、後者は釣り方 / どんな魚を釣るべきか / その魚を調理する上で気をつける点を教えてくれる。といったところか。
手元においておいて、ホケンを考える過程では何度か立ち戻りたくなる一冊だと思う。

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