企業復活

企業復活 「日の丸ファンド」はこうして日本をよみがえらせた
小野 展克 (著)
最近読書に使う時間を削っています。が、それでも読んでいます。読み終わったということが久しぶりのこの一冊。もともと冨山さんの書籍を読んで、彼自身と産業再生機構という存在について興味があったので自然と手が伸びた(参考過去エントリー)。
産業再生機構ができた理由とその経緯、そしていくつかの企業再生の裏側が描かれている。直接活動に関わっていない方が書かれているのだけど、完全に客観的な視点から書いているわけでもない、が冨山さんの著作にあるような臨場感や現場の熱さのようなものもない。ただ、冨山さんの著作とはスコープが違う。この本は産業再生機構と再生対象企業とのつながりのみならず、産業再生機構と対象企業のメインバンクであり、政財界のステークホルダーでありとのつながりにおいて何が起こったのかも書かれている。
産業再生機構というよりは、企業再生と言う活動に興味があるという方は冨山さんの著作を読まれることをオススメします。
印象に残っている言葉を一部抜粋。

P.130
三井鉱山の苦境を反映して、工場への設備投資が遅れ、最新鋭と呼ぶには程遠いものだった。しかし、内部はきれいに整理整頓され、機器や設備はしっかりとメンテナンスされていた。何よりも、従業員が工場での仕事に誇りを持っていることが伝わってきた。

P.136
初期の案件は「踏み絵」になる。今回の査定ミスへの判断が、以後の再生機構の経営の方向性や、評価を定めていく。市場に対するシグナルにもなる。妥協してミスをごまかせば、支援先の企業や銀行からの評判は、一時的に良くなるだろう。
しかし市場は、いずれ再生機構の「緩み」を見抜く。つらくても、査定の誤りを公表すれば、最終的に市場の信頼は勝ち得るはずだ。

P.185
「会社法を素直に読めば、会社というのは事業の利害調整を目的としたある種のフィクションでしかないことがわかる。だから、人間が会社を使いこなさなければならないのに、日本では人間が会社の奴隷になっている。主従が逆転しているんだ。これでは誰も幸せになれない」