正しく決める力

正しく決める力―「大事なコト」から考え、話し、実行する一番シンプルな方法
三谷 宏治 (著)
久しぶりによんだ三谷さんの著作。文字も詰まっている印象は受けない。言葉遣いは平易で絵も多くとっても読みやすいしサクサク読めると思っていたもののそう簡単にはいかない。一貫して、身近でイメージしやすい数々の具体例をもって、タイトルどおりの内容を主張されると尚一層のこと、自分の正しく決める力について振り返らざるを得ない(いや、そもそもその力を身に付ける/磨きなおすための読書だという話はあるのだけど)。
そして気がつく。”ないな”と。
いや仕事においてはそれなりにあるつもりでいる(要継続的研鑽)。でも自分のキャリアであり人生でありを振り返ったときに、offの自分に、自分の人生というものに対して、正しく決める力はあるだろうかと問いかけると胸を張ってyesとは言えない。短期的・一時的な欲求に対して合理的に振舞っているに過ぎないと思える。
そんな今の自分は結局室内犬型とケージ鶏舎型の狭間にプロットされるような生活(P.239参照)を送っているに過ぎないのではないかという考えが頭をよぎる。ちょうど自分でうっすらと自覚していたことであり、軌道修正しつつあったことだけにあまりにストレートに自分に響くマトリックスだった(プロット対象は子育てだったような気もするが。。)。
というように、自分にとっては仕事においてどうというより日々の生き方において、シンプルに足を止めて、考えさせてくれる一冊であると思う。それにしても、身近な例というか経験を丁寧に眺めて、中身を解いて、メッセージされる三谷さんの感性と洞察力には相変わらず尊敬の念を覚える。
#お笑い好き、小さい頃から”頭の体操”やなぞなぞ、クイズが大好きで片っ端からやっていたこと、ものを考えるのが好きという観点から、本の中に登場するアーファンティの小噺やフランスの学校の授業の話は、この本のメッセージを抜きにして面白く、興味深かった。
印象に残った言葉を以下に一部抜粋。

P.35
成功の答えも、失敗の答えも、「差」にあるのではない。必ず「大事なコト」の中に潜んでいる。必ず、だ。

P.62
ただ考えていても、大事なコトは決まらない。大事かどうかは、数字で示せるように測ること。

P.88
作業でも分類でもない、分析だ。ちゃんとメッセージ(○○が一番大事!)があるのだ。

P.120
ただし、ブロック(ある前提、とか)だけを投げつけないこと。ブロックとブロックのつながりにこそ意味がある。だから、ブロック同士のつながりや、全体の構造をちゃんと伝えること。

P.124
・聞くことから逃げない、ちゃんとまじめに聞く
・大事なことから逃げない、ちゃんと大事なコトから問う
・問われたことから逃げない、ちゃんと正面から答える

P.127
質問自体が体をなしていないのに、なんで答えようとするのか。質問者も意図があるならなぜそれをハッキリ言わないのか。意図と違う答えが返ってきたなら、なぜそこを突っ込まないのか。

P.144
想像力。これを鍛えるには、読書と会話と妄想しかない。

P.177
アヒル曲線とはそういうこと。資源を3割削れば成果はゼロになる。肝心な資源投入をケチれば、良い意思決定をしても、結局成果はゼロになる。

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