脳と気持ちの整理術

脳と気持ちの整理術―意欲・実行・解決力を高める
築山 節 (著)
前回の本と同じく飛行機の中で読んでいた一冊。平易な表現で、脳の仕組みがどうなっているのかという裏づけをもって頭の使い方、気持ちとの付き合い方について書かれている。とても読みやすいし説得力もある。”こうすれば仕事が!生産性が!!”というようなガツガツしたところもなく、全体に優しいトーンで書かれている。著者の職業・人柄からだろうか。
面白いもので、ちょうど最近GTDに興味を持ってそれに関連する書籍を読んでいたのですが、面白いことに内容が似ている部分が結構ある。具体的なノウハウとしてまとまっているのはこちら、脳の仕組みとあわせてより分かりやすく書いてあるのが本書と。後、悩みを思考に落とすとかといった整理のつけ方は本書と。
特にGTDで語られてない、本書らしい部分で印象に残っている部分を以下に抜粋する。
誰のためにが大事。
(今の時代だからこそ)目標に時間的制約を持つ一方で待つことも大事。

P.42-43
集中力を高めるには、「時間の制約」を持つことが大切と書きました。
(中略)
その「時間の制約」を設ける効果をより大きくする方法を、ここで補足しておきましょう。
一つは「必ず結果を出す」ということです。
つまり、二時間なら二時間、ただ考えたということに満足するのではなく、その間に考えたことを目も程度にでも、必ず脳から出力して残しておく。「試験を受けている状態」を作り出した以上、完全解答でなくても、答案用紙は必ず提出するのです。

P.51-53
「次に何をするか」「明日何をするか」を考える時には、まず「誰のために」を考えることが大切です。
(中略)
(目標が具体的であるほど「それをやろう」という意欲も起こりやすくなる前提で)「誰のために」を考えるのは、その目標を具体的に考えやすくするために有効なことです。
たとえば、資料を作成する場合でも、ただ何となく「自分が満足するように」と考えていると、「いつまでに」「どれくらいのもの」を仕上げればいいのかが考えにくくなります。そのときに、「顧客の山田さんのために、資料を作成する」ということがはっきり認識できていれば、「いつまでに」「どれくらい」も考えやすくなるでしょう。
その具体化しやすいという効果によって、「それをやろう」という意欲も発生しやすくなる。
また、結果的に、人からの感謝や評価も与えられやすくなります。

P.89-90
「まとまった時間ができることなどない」ということです。
(中略)
もっと正確に言えば、そういう時間ができるのを待っていると、実際に「まとまった時間」ができたときに。それがく件の仕事をするための時間ではなくなっているということです。
(中略)
時間をかけてでも解決しなければいけない問題があるときには、少しでも変化させ続ける。
まとまった時間ができるのを待つのではなく、細切れの時間を見つけて、問題のごく一部でもいいから解決する。解決させられなくても、次につながるヒントだけでも残しておく。
それが問題解決を早め、仕事を溜め込まないようにするコツです。

P.202
脳は「少しずつ」「一歩ずつ」がもっとも合理的であるようにできています。
待たなければいけない時間が長い人生の中で、少しずつ情報を脳に入力し、有効な知識を着実に増やしていく。思考と気持ちを整理し、目の前の問題を冷静に解決しながら、目標に向かって一歩ずつ進んでいく。自分を成長させていく。結局はその方が早いはずです。
もちろん、「時間の制約」を設けて、緊張感を持って仕事や勉強をすることも大事なのですが、同時に、「時が来るのを待つことも大切」と考えるようにして下さい。

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