RE DESIGN

RE DESIGN―日常の21世紀
竹尾 (編集), 原 研哉, 日本デザインセンター原デザイン研究所
「日常」をテーマにデザインのし直し(RE DESIGN)をした作品を集めた一冊。トイレットペーパー、切手、はがき、マッチ、ライト、クレヨン(色)、0歳児の絵本、スタンプ、新聞、名刺、シール等、日常に存在するものがBefore、デザイナーの意図、Afterと並べて綴られている。
見ていて感じたのは、デザイナーの意図そのものの斬新さもあることながら、デザインと機能のバランスを、込めた意図に対して絶妙に保っているところだった。斬新なデザインの理由を、デザイナーは全て語ることができている。なぜその対象なのか、なぜその素材なのか、なぜそのかたちなのか、なぜその色なのか。
その理由、デザイナーの意図の裏には自分の主張だけでなく、ユーザーの利用シーンがあり、具体的な経験から得たインスピレーションがある。
ビジネスをデザインする上でも学ぶことは多い。

最前線のリーダーシップ

最前線のリーダーシップ
マーティ・リンスキー (著), ロナルド・A・ハイフェッツ (著), 竹中 平蔵 (翻訳)
リーダーシップ関する本はいくつか読んできた。この本では特にリーダーシップという現象において、その中でリーダーとされた人が失敗・挫折する経験を多く踏まえて、そうならないために現場で、具体的にどうするべきかという観点で書かれている。
自分にとっての学びが何であったかを振り返る。
この本の中で言われているリーダーシップとは、集団もしくは社会におけるリーダーシップだ。この際に考えるポイントは2つあるといっていると解釈した。

1つは、集団・社会をリードする上では(特にリードするものが既存の集団・社会に与える変化・影響が大きい時は)彼らへの影響を忘れるな、彼らの理解を怠るな、彼らへの配慮を忘れるな、ということ。
1つは、自分をリードするもの・理由を手放すなということ。

既存の集団・社会に対する影響・変化が大きい程、彼らが経験する変化は大きくなる。そこには苦しみが伴う。変化した後の世界の方がどれだけ素晴らしいといわれたとしても。変化する前の今は自分たちが生きている現実であるのに対して、変化した先の話はそうではないからだ。得られるものが多かったとしてもその期待値が今の期待値を越えることは簡単ではない。
この影響を的確に把握しておかなくてはならない。例えば、自分がもたらそうとしている変化は、単に彼らが普段の行動、習慣を変えれば適応できるものだろうか。それとも、心・考え方まで変える必要があるものだろうか。
そんな彼らがリーダーシップをどう解釈し、どう反応するのか/しているのかを理解しなくてはならない。その時々に彼らが見せる側面だけを捉えるのではなく、そのように見える彼らに働いている動機をおさえなくてはならない。そのためには、自分と目の前にいる相手という関係だけでなくて、リーダーシップをとっている変化のステークホルダーの位置関係、行動の動機を踏まえる必要がある。俗に言うバルコニー席に上がるということだ。そのためには、自分と反対の方向を向いている人でも、彼/彼女を理解してその立場から物事を考えようとする”好奇心”が必要だ。
ここで印象的だった言葉は、

言葉の奥に潜む「歌」に耳を傾けなくてはならない

という一言だった。
それらを理解しても、思い通りにならない、結局分かり合えない、といって彼らと距離をとって変化を起こそうとしてもそれはうまくいかない。反対や抵抗が大きいほど自分が正しいということを証明したくなる気持ちも大きくなりがちだが、それは弱さの現れに他ならない。しかしそう思ってしまうのも人間というものなのかもしれない。ここで大切なことは4つある。
1つは、自分も変化を必要としている問題の一部であったことを受容れ、まず自らを変えること。1つは、反対派を遠ざけず、一方で自分のパートナーを見つけること。1つは変化に適応していくための土台を築き、変化のペースをコントロールすること。そして最後に、変化に必要な犠牲は辞さないことだ。
そして、上記の過程をリードしている自分をリードしているもの・理由を手放してはならない。一方でこれに関してはいくつか印象的だった言葉を抜粋する。

慢心しないためには、世界を救う孤独な英雄になるのをあきらめることだ。人々はあなたにその役割を担うように求めるかもしれないが、そそのかされてはいけない。英雄になることで彼らの成長機会を奪い、彼ら自身で物事を解決できなくなってしまうからだ。

大胆さと虚勢を混同してはいけない。自分が何をしているかわからなくても、果敢に新しい領域に挑むことはできる。自分の能力の限界を知りつつ、新しい領域を開拓しながら学ぶ姿勢を保つのである。

自己と役割と区別することは、賞賛を批判と区別することと同じくらい重要である。人々に褒められたことをすべてうのみにすると、あなたは役割のなかで自己を見失い、結果として個人的なアイデンティティや自己のイメージをゆがめることになりかねない。

攻撃の内容ではなく、攻撃に導対処するかで運命が決まるのだ。

「なぜリードするのか」という質問に対する答えは、単純且つ深遠である。人類の経験上、人生の意味の最も重要な源は、他人との絆を渇望することからきている。リーダーシップを発揮することは、人生において、友人や仲間に認められること、物質的な利益を得ること、身近な成功に喜ぶといった日常の利害を超えた意味を与える。なぜなら、実際にリーダーシップを発揮することによって、他人と意義ある形でつながることができるからである。その絆を表す言葉は愛である。

自分自身を覆うとき、人はそのことで何かを失う危険も同時に冒している。自らを守ることに精いっぱいになると、無邪気さ、好奇心、哀れみといった生きることの本質の多くを失ってしまうことがある。傷つくことを避けるには、無邪気さを皮肉に、好奇心を傲慢に、哀れみを冷淡さに変えることが簡単な方法だ。