大逆転の経営

大逆転の経営
エイドリアン スライウォツキー (著), 中川 治子 (翻訳), 佐藤 徳之 (翻訳), 伊藤 元重 (翻訳)
後ほど。(・・・たまってきてしまった。)
[5/15 2:48更新]
昔、ザ・プロフィットという本を面白く読んで以来著者の栄ドリアン・J・スライウォツキーに興味を持ち手にした一冊。ちなみにザ・プロフィットでは企業が利益を上げる方法をいくつかのモデルに整理し、その違いや特徴を分かりやすく小説形式で話している。(ザ・プロフィットに関する当ブログのエントリー
今回のこの著作の中では、”戦略リスク”というものに着目し、それをただ恐れて回避する/甘受することなく管理しよう、そして成長機会に変えようというスタンスをとり、その方法として事例をまじえながら7つ紹介している。その7つとは以下だ。

1. オッズ(成功確率)を高める
2. 顧客ニーズを推測するのではなく、深く理解する
3. 業界の分岐点でダブル・ベット(両方に投資)する
4. 無敵のライバルとは「別の土俵」で闘う
5. ビジネスデザインを見直し、ブランドを守る
6. ライバルと提携し、死に至る競争から逃れる
7. 需要を革新し、市場を広げる

リスク管理手法に関しては、一般的なリスクマネジメントの内容とほぼ同じで、以下のプロセスに従う。

1. リスクを特定し、評価する
2. リスクを定量化する
3. リスク軽減のアクションプランを立てる
4. 上向きの可能性を特定する
5. リスクマップ(影響度×発生確率)をつくり、可視化し、優先順位をつける
6. 投資判断を調整する

重要なのは(リスクマネジメントの方法論ではなく)”戦略リスク”に立ち向かう、成長機会に変えるということだ。そのために自社の戦略を実行するシナリオを明確に描く必要がある。そのためには自社の戦略が明確になっていなくてはならない。
そしてその戦略を是とせず、そこにおける不確実性(リスク)を受入れ、それによってどのようにシナリオが変わるのかを明確にする(複数のシナリオを描く)。
その後の過程で、リスクのドライバーが動き出す、顕在化するといったことが起こった際に、いかにしてその中に成長機会を見出し、柔軟に戦略を変更して実行に移していくかだ。
当初立てた戦略を実行することが目的化していると上記を行うのは難しい。こういった考え方で臨むとリスクは目的の阻害要因に他ならない。であれば防止・回避するかそれができなければいかに軽減するかまでしか頭がまわらない。成長機会として捉え、戦略を変えるということが目的を達成しないことに含まれてしまうからだ。
1つ印象に残った言葉があったのでここに抜粋する。

待つことは、心地よく習慣性があり、最後には命取りになる麻薬のようなものだ

何事にもいえることだが、アンテナを広げ感度を高め、情報をキャッチすることだけにとどまることなく、それを解釈し意思決定につなげ、行動を変えるところまで自分や組織を動かす意志こそが大切だ。