教える側の考え

ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか
年末年始の時間を使って最後に読んだ一冊。大企業の経営企画室の若手スティーブに、チャオという老人が利益を生み出す仕組み(利益モデル)を教える形で話が進み、その過程を追うことで利益モデルを理解できるようになっている。
書籍の中で紹介されている23の利益モデルについてはすでに知っているものもあればこれまでの考えを、異なる視点でわかりやすくまとめているものもあり面白かった。その内容に負けないくらいに目を引いたのがこの物語にでてくるチャオという老人のものの教え方、基本的な考え方だった。ランダムにざっと振り返ると以下のようなものがある。
●何事も数字で考えろ、仮の数字をおいて大体の規模を掴め。数字で遊ぶ習慣をつけなさい。
●学習には4つのレベルがある、自覚(Awareness)、当惑(Awkwardness)、適用(Application)、一体化(Assimilation)だ。
●最初の48時間でできるだけの情報を頭の中に詰め込む。無理やりでもここで情報を詰め込むと不十分ながら知識の骨格が出来上がる。その後の経験にその知識が結びつき、時間とともに進化していく。
●ビジネスについて知りたいなら、(本やレポート等で間接的にではなく)ビジネスを直に観察しなくてはならない。一番重要なのは顧客と話すこと。
●落胆は進歩の最大の敵だ。
●過去に逃した機会のことを考える必要はない。これから自分に訪れる機会に集中しろ。一番いいのは最初の機械に集中することだ。
●難問を解こうとするな。遊びのつもりで取り組め。
●できの悪い生徒はいない。いるのはできの悪い教師だけだ。
また、学習する利益モデルの順番は似たものが続かないようにあえてばらばらに並べられている(似ている、という認識で理解したつもりになるのを防ぐため)。また各利益モデルを学習する上で紹介される本や情報源も色の異なるものを並べていて考えが偏るのを防ぐようになっている。
利益モデルを学習するとともに、教える立場にいる人間がどういうときに何をどのように考えて対応してるのかを知ることにも役立ったと思う。